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2025年12月13日土曜日

土曜夜の歌声サロンラウム~ 11月22日のご報告~ 神田陽子

  『秋深し 隣は何を する人ぞ (松尾芭蕉)』 何となく浮かんだこの俳句がぴったりする晩秋のこの日、土曜歌声はいつもの皆さん、お久しぶりの方々で賑わいました。

 紹介曲には195歌集の「湖畔の宿」を選びました。 1940年(昭和15年)発売の歌謡曲で、作詞 佐藤惣之助、作曲 服部良一、歌唱 高峰三枝子でヒットしました。 感傷的な曲調と歌詞が日中戦争の戦時下の時勢に合わないと、まもなく発売禁止となりますが、前線の兵士には人気があり、高峰三枝子も慰問先では涙ながらに歌ったこともある、と語っています。
 私の亡き父もこの曲が大好きで、特徴的なイントロをアコーディオンやピアノで嫌と云うほど聴かされた私は、生まれた時からこの曲を知っていると錯覚しているほどです(笑)

 リクエストはおよそ半年ぶりにサプライズでいらしたお客様より「星かげのワルツ」 1966年(昭和43年)リリースの曲ですが、千昌夫のロングヒット曲です。 ひと昔前のカラオケでは、この曲が『十八番(おはこ)』のおじ様方がたくさんいらしたような? 私もOL時代に『「星影のワルツ」は○○さんの持ち歌だから歌わないように。』と言われたことがあります(笑) その頃より今、歌いたくなる1曲になっています。

 「庭の千草」 度々リクエストされる人気のアイルランド民謡で、
原題は「The  Last Rose  of  Summer (夏の名残のばら)」 里見 義(さとみ ただし)が訳詞を手がけ、明治17年に発行された『小学校唱歌集 第3編』に収録されています。 美しいメロディは古いアイルランド民謡が元になっていますが、多くのクラシックやポピュラーの作曲家によって引用され、編曲や変奏曲が作られています。 かのルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンも『アイルランドの歌 第2巻 (20のアイルランドの歌)』の第6曲「悲しみと不運の季節 (Sad and Luckless was the Season)」と云う曲を作っています。

 ダーク・ダックス「銀色の道」 古関裕而 作曲、岡本敦郎 歌唱「高原列車は行く」 ベッツィ&クリス「白い色は恋人の色」 昭和の名曲3曲を続けて歌いました。 いずれも525歌集の中ではリクエスト頻度の高い曲なので、皆さんとても良くご存知です♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪

 「サン・トワ・マミー」 これもお馴染みのシャンソン。 『ふたりの恋は 終わったのね…』『悲しくて 眼の前が暗くなる…』と悲愴感満載の歌詞を、明るい曲調で歌っています。 洋楽番長のMr.Mの軽快なリードで。

 「マリネラ」 『ペルーのダンスのことです。』と知識豊富なリクエスト者から教えてもらい、休む間もなく洋楽番長の出番です(^◇^;)     
 男女ペアのダンスで男女共に白いハンカチを右手に持って、6/8拍子のリズムで踊るのが大きな特徴です。 尚、この『マリネラ』とブラジルの『サンバ』、アルゼンチンの『タンゴ』が南米の3大ダンスと言われています。

 「切手のないおくりもの」 作詞・作曲は財津和夫で、「You Are My Sunshine」のような曲を、と依頼されて作ったそうです。 そう言われれば、『あなたから…』のメロディ、何となく似ているような気がしますね(^^) 
   ラウムバージョンでは、5番はスローテンポで情感たっぷりにうたいます。

 「トロイカ」 日本人に馴染みのあるロシア民謡の1つで、『トロイカ』とは『3つ組』と云う意味らしいですが、この歌では『3頭立ての馬車』のことです。  原曲では『金持ちに恋人を奪われた若い馭者の悲しみ』を歌っているそうですが、日本語で歌われている曲は、陽気で心を浮き立たせるような感じがします。

 「ゴンドラの唄」 『いのち短し 恋せよ乙女…』 ロマンティックなフレーズで始まるこの曲は1915年(大正4年)に発表された歌謡曲で、作詞 吉井勇、作曲 中山晋平です。 芸術座第5回公演『その前夜』の劇中歌として生まれ、松井須磨子らが歌唱しました。
 発表当初は酷評を受け、同じく芸術座第3回公演『復活』の劇中歌であった「カチューシャの唄」ほど爆発的にヒットした訳では無いのですが、その理由を中山晋平は『この曲は長旋法(長調)で、当時の日本の歌曲では珍しかった6拍子のメロディが受け入れづらかったのだろう。』と推測していたそうです。
 1952年の黒澤明監督映画『生きる』で、ブランコを揺らしながらこの歌を口ずさむ主人公のシーンが話題を呼んで、「ゴンドラの唄」の人気も再燃しましたが、100年に渡って多くの歌手に歌い継がれている名曲です。
 歌詞は4番まであり、525歌集には1番、2番、4番が収録されています。
 割愛された3番を載せておきます。

          いのち短し 恋せよ乙女
          波にただよい 波のよに
          君が柔わ手を 我が肩に
          ここには人目も 無いものを


 「ワインレッドの心」  玉置浩二擁する『安全地帯』の4枚目のシングルとして1983年にリリースされました。 作詞 井上陽水 作曲 玉置浩二の、歌謡曲のテイストをふんだんに使ったヒット曲ですが、私はてっきりこの曲でメジャーデビューしたのだと思っていました。 それまでの3作は泣かず飛ばずで『安全地帯』の認知度も低かったのですが、これ以後数々のヒット曲を世に出していきます。 玉置浩二の圧倒的な歌唱力はいまだに健在で、バンド活動と並行してソロでも大活躍です。 現在放送中のドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』の主題歌「ファンファーレ」も玉置浩二の曲です🐎

 「大漁唄い込み(斎太郎節)」 『挑戦曲ですが…』と、リクエスト者が自らおっしゃっていましたが、土曜歌声ではおそらく初出だったのでは? 
 Mr.Mの『エンヤードットー エンヤードットー 』の掛け声も雄々しく、『まつしぃま〜の サァヨ〜〜〜〜…』と始まる唄は、誰もが耳にしたことのあるお馴染みのメロディです。 宮城県牡鹿半島の沿岸地域に伝わっていた櫓漕ぎ唄が元になっているとされているそうです。 
 『斎太郎』の由来は諸説あるみたいですが、仙台藩の鋳銭場銭座で働いていた『斎太郎』という美声の持ち主が、漁師になって歌っていたことからその名が付いたと云う説が本命かも? こちらも美声のリクエスト者のリードで🐟🐟🐟

 年1参加(笑)の私の同期入社の友人から「中央フリー・ウェイ」 これは1976年リリースのユーミンのアルバム『14番目の月』に収録されていますが、私が最初にこの曲を聴いたのは、ハイ・ファイ・セットのバージョンでした。  都会の洗練されたドライブ・デートはこんな感じなのか、とハイテンポの洒落たアレンジの曲に魅せられつつ思ったものです。
 『中央フリー・ウェイ』とは『中央自動車国道』のことなので、この辺りでも馴染みの高速道路です。 この歌は東京西部の都市風景を歌っていますが、もし小牧から岐阜方面への風景を描写したら、どんな「中央フリー・ウェイ」になるのでしょうか… そんなことをふと思った次第です(^.^)

 ここで小休止。 

 後半は、チューリップ「青春の影」でリスタート。 この曲、近頃『こくみん共済』のCMで女性の可愛らしい声で歌われています。 
 作詞・作曲の財津和夫によると、歌詞はビートルズの「The Long And Winding Road」をモチーフにしているそうです。 チューリップのボーカルは、それまで甘い声の姫野達也でしたが、この曲は財津和夫自身が歌っています。
切々と語りかけるような歌声が多くの人の心に響き、今なお不動の人気曲です。

 リクエストは「無縁坂」 さだまさしの『母』をテーマにした名曲です。
リクエスト者はこの曲がとてもお好きなようで度々出されますので、きっと『お母様への想い』とリンクしているのでは? と勝手に思わせて頂いていますが…(*^^*)

 谷村新司「昴」 森繁久彌、加藤登紀子の歌唱で有名な「知床旅情」 岡本敦郎「白い花の咲く頃」の3曲を続けて歌いました。 「白い花の…」は、1950年(昭和25年)にリリースされていますが、後に多くのアーティストがカヴァーしています。 2011年のスタジオジブリのアニメ映画『コクリコ坂から』は、1963年の横浜が舞台となっていますが、作中で高校生たちが「白い花の咲く頃」を斉唱するシーンがあるそうなので、気になる方はご覧になってはいかがでしょう?(私も観てみたくなりました)

 さだまさし「道化師のソネット」 松山千春「季節の中で」 ほぼ同じ年代にリリースされている2曲を歌いましたが、どちらも335歌集の人気曲です。
 さだまさしと松山千春は、およそ本人たちのキャラとはかけ離れた真面目で素晴らしい楽曲を多々生み出していますが、私生活でも仲が良いようで、お互いにイジり合ったりしています(#^.^#)

 「果てもなき荒野原」 度々リクエストされるロシア民謡ですが、歌詞の内容は死にゆく馭者の心情を綴ったもので、1つのストーリーになっています。 ゆったりとした旋律で歌われ、歌詞に込められた哀れさを感じさせます。 
 日本では『うたごえ運動』で歌い継がれていますが、加藤登紀子は改めて訳詞をつけ、アルバム『ロシアのすたるじい』の最後に「草原」と云うタイトルで収録しています。

 「駅」 この曲は作詞・作曲 竹内まりやで、私も彼女のオリジナルだと思っていましたが、元は1986年発売の中森明菜のアルバム『CRIMSON』の中の1曲として提供されたものです。 翌1987年に竹内まりやがセルフ・カヴァーしたことによってよく知られるようになりました。 1991年に映画『グッバイ・ママ』の主題歌にも使用され、その認知度は上がりました。  歌詞を少し深掘りしてみましょう。
 電車の中でふと見かけた昔の恋人。 『見覚えのある レインコート…』(そんなに特徴的なレインコートって?) この歌い出しで、一瞬で光景が見えますね。 『懐かしさの一歩手前で こみあげる 苦い思い出に…』 懐かしく思いながらも、同時に苦い思い出もフラッシュバックして、『言葉がとても見つからないわ…』と。 複雑な女心が垣間見られる描写です。 そして『あなたがいなくても こうして 元気で暮らしていることを…』のフレーズ。 これは、全ての女性の気持ちを代弁しているのでは? もちろん若干強がりの要素もあるでしょうが、今の自分は幸せであることを示したい…『女のプライド』ですね(解るw) 『二年の時が 変えたものは 彼のまなざしと 私のこの髪』 別れて2年。 その間に女は髪型を変え、男の眼差しも最早自分には降り注がれない…それは分かっていたはずなのに… 『うつむく横顔 見ていたら 思わず涙 あふれてきそう』 これは未練では無く、哀愁でしょうか? ひとしきり思い出に浸り、切ない想いも感じても、結局今の2人は別々の人生を歩んでいる… 『雨もやみかけた この街に ありふれた夜が やってくる…』 ここで現実に戻され、またありふれた日常が続いていく… こんな感じでしょうか?
ロマンティック過ぎずに、けれど葛藤する女性の気持ちを端的に表している名曲ですね。

 近頃人気の「いのちの歌」 これもMiyabiこと竹内まりやが歌詞を書いていますが、「駅」とは打って変わって、『命』の尊さを謳っています。

 「風と落ち葉と旅人」 「遠くへ行きたい」 どちらも昭和の名曲ですが、「風と…」は、可愛らしい姉妹デュオが歌っていましたね。 主旋律が変わっていくので、本来はハモれれば良いのですが…(ハモリ姫、Please come back^ ^)     「遠くへ…」は、土曜歌声では10指に入る人気曲ですが、いつ歌っても余韻が残る素晴らしい曲です。

 「箱根山」勇猛果敢なこの曲は、リクエスト者の見事なリードで、部屋中震えんばかりの迫力がで歌いました。 難しい言葉が並んでいますが、このような曲を歌うことで、日本語の奥深さを知る良い機会になります。

 「キャンディ・キャンディ」 これは同名漫画のアニメ化の際、主題歌として歌われましたが、原作漫画、アニメと共に大ヒットしました。 少女漫画の王道のような、薄幸でも明るい女の子キャンディが幾多の試練を乗り越えて、最後は幸せをつかむ… ザッと言えば(ザッと過ぎる…💦)そんなストーリーですが、時代設定は20世紀初頭、舞台はアメリカ中西部およびイギリス、と云う外国ものなんです。 キャンディの他にも魅力的なキャラクターがたくさん登場し、様々な人間模様を繰り広げていきます。 キャンディと一緒に泣いたり笑ったりしてどっぷり浸っていたのは… 私です(笑)  (今でも探せばどこかに全巻あるはず!)   
 ついついストーリーを熱く語ってしまいましたが、曲の方もとても素敵です。 バロック風のイントロで始まって、はずむようなAメロ、Bメロに続くサビは少し切なく、最後はまた明るい曲調になります。 『笑って 笑って 笑って キャンディ…』のフレーズは歌っているといつの間にか笑顔になれる気がします( ◠‿◠ )

 「いつでも夢を」 今年亡くなられた橋幸夫さんと、吉永小百合さんのデュエット曲です。 橋さんの訃報直後にも追悼曲として歌いましたね。 優しい歌声と抜群の歌唱力は、そのヒット曲共々永遠に忘れられないでしょう。

 ラストソングは、Mr.M選曲の「慕情 Love is a Many Splendored Thing」
 洋楽番長お得意の曲ですが、実はこの曲が大好きなお客様のお気持ちに応えたそうです。 情熱的に歌ってお開きに。

 次回は3週間後の12月13日。毎年恒例のクリスマスバージョンでお楽しみ頂きたいと思っていま🎄クリスマスソングを歌って、ピアノ演奏もあるはず🎹
 (これも恒例の)本日開催です(#^.^#)   3週間もあったのに、やっぱりギリギリ(恥💦) ちょっとだけ言い訳させて頂けるとしたら、黄砂と気温差で持病の喘息が悪化してしまい、2週間余り体調イマイチでした…(。-_-。)    かなり回復しているので、本日は頑張って歌いたいと思います♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪

 いきなりの冬到来に、私同様体調を崩されている方もいらっしゃるのでは? くれぐれもご無理はなさらず、防寒対策もしっかりとしていらしてくださいね٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

神田陽子