2013年1月2日水曜日
復刻版!【今月の歌・語り】第3回目「冬の夜」2001年1月掲載

今月の歌・語り
                        
【冬の夜】 ラウム歌集525 35ページ記載     

作詞・作曲者不詳

燈火ちかく衣(きぬ)縫う母は        
 春の遊びの楽しさ語る……              
                     

新春とは言っても、これからがまだまだ厳しい寒さが続きますね。
寒い夜には、ほのばのと心温まる一曲を口ずさんでみましょうか。
この歌は小学唱歌として、この世に登場したのが、明治45年。ちょう
ど明治が終わり、大正の世を迎えたころの「尋常小学唱歌」小学三
年生用が初出です。
この歌も、当時の文部省の方針により、作詞作曲者の名が明かされ
ていないため、どのようないきさつや思いで作られたのかを、知るこ
とができないのが残念です。ただ歌詞を眺めていると、なごやかな田
舎の冬の情景がありありと浮かんでくるようで、またここから当時の
ライフスタイルをうかがい知ることができます。暖房用具といつても、
こたつか火鉢、田舎では囲炉裏しかなかつた時代です。大人も子供
も冬には着膨れでころころになつていた時代でもありました。お茶の
間の娯楽、といつてもテレビはもちろん、まだラジオもない時代です
から、この頃の子供にとつては、囲炉裏に手をかざしながら、両親や
祖父母から聞く話が冬の夜長の一番の楽しみだつたのかもしれませ
ん。
歌詞の2番の「過ぎし昔の思い出語る」は、初出では「過ぎしいくさの
手柄を語る」となっていました。お父さんが語つたいくさの手柄話は、
日清・日露の戦いのことだつたのだろうと言われています。
囲炉裏を囲んで、父母の話に眠さを忘れて目を輝かせる子供たち。
外は吹雪でも、派手な娯楽も暖かな暖房器具がなくても、この歌に
描かれている安らかな家族の団彙の風景は、とても暖かく楽しそうに
思えてなりません。「父権の喪失」や「家族という単位の崩壊」が問題
としてとりあげられることもある、今の日本。この歌は唱歌としては残
念ながら昭和16年の「ウタノホン」で姿を消してしまいましたが、大切
に21世紀に歌い継いでいきたい曲の1つではないでしょうか。



 
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