6月23日の土曜歌声は、梅雨らしくまとまった雨が降った後の夕刻に始まりました。
ちょうど一週間前の16日に、ラウムのゴッドマザーと慕われた「亀さん」こと亀谷登志子さんが88歳で亡くなりました。
ラウム草創期から今年の1月まで20年に渡って伴奏を務め、ラウムの功労者でもありますが、87歳の現役ピアニストとしてまさにピアノと共に生き抜いて来た生涯でした。
この日はそんな亀さんを偲んで、お客様方にも亀さんとの思い出や想いを語って頂きながら進めていきました。
ファーストソングには亀さんの大好きだった、千賀かほるさんの「真夜中のギター」を選びました。
リクエストと共に各々亀さんとのエピソードを話して頂きましたが、どのお話にも亀さんらしさが溢れていて、改めてラウムにおける彼女の存在の大きさを思いました。
亀さんに個人的にレッスンを受けていた男性は、お得意のシャンソンから「幸せを売る男」を歌って下さり、また別の男性は「亀さんに捧げます。」と、「千の風になって」を素晴らしい歌声で披露して下さいました。
女性陣の口を揃えておっしゃることはおしゃれだった亀さんのことで、特にいつもハイヒールを履いて颯爽と歩いていた姿が印象的だったようです。
可愛らしくてお茶目なところ、お酒が大好きだったところ、ちょっぴり毒舌だったところ、、、
皆さんから語られる亀さんは、まさに「愛すべき人」でした。
亀さんの不在は寂しい限りですが、この日皆さんが亀さんを想い、語って下さったこと、何よりの供養だとありがたく思いました。
後半の始めに、私の気持ちを込めて335歌集から小田和正さんの「さよならは言わない」を紹介させて頂きました。
個人的には、10年前に亡くなった実母と同じ昭和5年生まれの亀さんに、特に親しみを感じていて、いつまでもお元気でいてくれることを望んでいました。
実家にも来てもらい、実父とピアノとアコーディオンの競演もして頂いたことも忘れられない思い出です。
娘にとっては祖母と孫ほどの年齢差はあるものの、ピアニストの大大先輩であり、尊敬すべき人でした。
それでも、うんと歳の離れた親友のようにいつも楽しそうに音楽談義をしていたものです。
そんな亀さんへの想いを語った後で、亀さんが「大好き」と言ってくれていたバッハの曲を弾きました。
今回の歌声は亀さん追悼になりましたが、あまり湿っぽくなっては亀さんに叱られそうですから、できるだけ楽しい雰囲気でいつも通りの歌声でと思っていました。
でも皆さんの歌声がいつにも増して優しいと感じられたのは、亀さんへの想いがいっぱい詰まっていたからでしょう。
短歌会館で一番たくさんピアノを弾いていた亀さんですから、きっとこの日もここに来て皆さんのお話や歌声を聴いていたと信じています。
恒例の「また逢う日まで」を元気に歌ってお開きになりました。
次回は、7月14日、16時半からです。
梅雨も明けて暑くなっているでしょうが、皆さんのお越しをお待ちしております。
神田陽子