2024年10月26日土曜日
土曜夜の歌声サロンラウム~ 10月19日のご報告~ 神田陽子

  第3土曜日に当たるこの日は、イレギュラー開催だったこともあってか、また直前に体調不良等でお休みの連絡を頂いた方々もあり、少数精鋭での開催となりました。

 
 紹介曲には、さだまさしの名曲「秋桜」を選びました。 人気の高い曲ですが、『秋桜』と書いて『コスモス』と呼ばせるようになったのは、さだまさしのこの曲以来です。
 この曲は、明日嫁いでいく娘とその母の縁側でのワンシーンを、それぞれの想いで描いています。
 歌詞のほとんどは娘が語っている状況や気持ちですが、ピンポイントで入る母の科白がこの曲の秀逸さだと思います。 
 1番では『苦労はしても 笑い話に時が変えるよ 心配いらない』と少し長めの科白ですが、2番ではたったひと言『元気で』の箇所が母の科白です。 その『元気で』を何度も何度もくり返す…情景が目に浮かび、つい母の気持ちに感情移入してしまいます。
 
 リクエストは195歌集の「公園の手品師」 途中に『ラララン ラララン ラララン』と可愛らしい歌詞が入りますが、この歌を歌ったのはフランク永井。 「有楽町で逢いましょう」「東京ナイトクラブ」などムード歌謡のイメージが強い歌手ですが、こんなファンタジーな曲も歌うのですね。

 「古城」 1959年リリースの三橋美智也のシングルで、300万枚とも言われるほどのメガヒット曲です。 民謡の歌手であった三橋美智也の伸びやかな声が、私の母世代の心を鷲づかみにしたようです。 

 「祇園小唄」 昭和時代に活躍した『うぐいす芸者歌手』の第一号、藤本二三吉のヒット曲。 彼女自身は生粋の江戸っ子で、日本橋葭町で芸者になった後に歌手になるのですが、流行歌と並行して新民謡(地方小唄)も多く吹き込んでいます。 この歌は京都祇園の風情を感じさせる『だらりの帯』と云う歌詞で終わっていますが、47(ヨナ)抜き音階と37(ミナ)抜き音階が入る、調性が不安定な音階を作り出して不思議な旋律になっているそうです。

 「旅人よ」 加山雄三の10枚目のシングル「夜空を仰いで」のB面曲で、まさかのB面。 A面の曲よりずっと人気がありそうですが… 彼の主演映画『若大将シリーズ』の『レッツゴー!若大将』の挿入歌としても使われているそうです。 長調と短調が微妙に合わさって絶妙なメロディとなっています。
 
 「オールド・ブラック・ジョー」 アメリカの作曲家、スティーブン・C・フォスターの34歳(1860年)の時に出版された作品です。 歌詞のジョーは架空の人物とされていますが、彼の妻の実家にジョーと云う黒人執事がいたこともあり、奴隷制度に苦しんでいた黒人たちに対するフォスターの優しさが窺えます。

 今日は絶対にこの曲出るだろうな…と思っていました。 「もしもピアノが弾けたなら」  つい先日突然の訃報に驚かされた西田敏行さんの唯一無二の名曲です。
 俳優としての数々の偉業はもちろんのこと、歌手としても味のある歌い方をする人でした。 作詞 阿久悠、作曲 坂田晃一の黄金コンビが創り出した本当に素敵なこの曲を、西田さんを忘れないためにも、街角の歌声サロンでも歌い続けていきたいと切に思います。

 「恋はやさし野辺の花よ」 フランツ・フォン・スッペ作曲のオペレッタ『ボッカチオ』の中で、フィアメッタの歌うアリア。 ロマンチックな歌詞と美しいメロディが印象的です。
 元々女性が歌う曲でしたが、日本ではテノール歌手田谷力三が男声で歌っています。

 「旅愁」 日本の詩人犬童(いんどう)球渓が、1907年(明治40年)に、詩を訳した翻訳唱歌です。
 原曲はジョン・P・オードウェイによる「Dreaming of Home and Mother(家と母を夢見て)」と云う、1868年の楽曲です。 この曲を知った犬童が、故郷熊本から離れた自身の心情と重ね合わせながら訳詩したそうです。 
 アメリカの曲でありながら、日本人の心にこれほど響くのは、犬童の素晴らしい訳詩のお陰でしょう。

 「さんぽ」 ジブリ映画『となりのトトロ』のオープニングテーマで、軽やかなテンポの愉快な曲です。  『作詞の中川李枝子さんも、西田さんと同じく、つい最近亡くなったんです。』とリクエスト者が教えて下さいましたが、子どもに大人気の『ぐりとぐら』シリーズの作者として有名な作家です。 ご冥福をお祈りしながら歌いました。

 スタッフリクエストは、秋にぴったりの「枯葉」 元はフランスのシャンソンですが、アメリカに持ち込まれて「Autumn Leaves」のタイトルで発表されました。 
 語るように歌うヴァースの部分は長く歌われていなかったのですが、ビング・クロスビーが歌って以来、ナット・キング・コールなども歌うようになったのですが、本格的に広まったのはインストゥルメンタル版で、ポピュラー・ピアニストのロジャー・ウィリアムズがヒットを飛ばしてからだそうです。 枯葉の舞い散る様をピアノで模した煌びやかなアレンジが大衆に大人気となり、以後「枯葉」は、甘く切なくムーディに演奏される様になりました。
 ジャズの分野ではスタン・ゲッツが、コーラス部分に独特のコードアレンジをしたアドリブが人気を博しました。

 ここで前半終了。 この日はお2人のお客様から差し入れを頂戴したので、皆さんでありがたく頂きました。

  後半は、アリスの「秋止符」でリスタート。 骨太の男らしい曲の多いアリスですが、この曲は情緒的で切々と歌うバラードです。 横山みゆきさんと云う女性歌手がアリスに先行してシングルをリリースしているそうです。
 1979年当時、『3年B組金八先生』第1シリーズで、サブタイトル『十五歳の母』の回では度々BGMに使用されています。 
 昨年亡くなった谷村新司さんの遺された隠された名曲のひとつだと思います。

 リクエストは「シャンテ」 『歌いましょう』と云う意味のシャンソンで、度々リクエストされます。 美しいメロディで、『ラララ ラララ…』とスキャットも入っているので、覚えやすい1曲です。

 「家族になろうよ」 福山雅治の曲で、リクルート結婚情報誌『ゼクシィ』CMソングで使われましたが、テレビ東京系バラエティ番組『家族になろう(よ)』のイメージソングにもなっています。 
 優しい曲調と家族をテーマに書かれた歌詞が、結婚への憧れを促すような曲です。 
 福山雅治がギターで弾き語るオリジナルは、独特の『間』や、『歌い回し』があり、歌うにはなかなか難しい曲ですが、綺麗な旋律と愛に溢れる歌詞が素敵な曲です。

 「まちぶせ」 ユーミンが作り、石川ひとみでヒットしましたが、後にユーミン本人もセルフカバーしたり、その他多くの歌手に歌われています。
 元祖『ストーカーの歌』などと揶揄されましたが、ユーミンの夫で、この曲のアレンジも担った松任谷正隆氏によれば、『こんな詩は彼女にしか書けない世界』とユーミンの感性を高く評価しています。

 「陽気に生きようこの人生をさ」  この曲も度々出されていますが、元は自主制作のレコードだったようです。 タイトル通りの陽気で楽しい曲調で、歌っているとどんどんテンションアップしてくる様な気がします。 

 「どんなときも」 槇原敬之の大ヒット曲で彼の代表作です。 改めて歌詞を読むと、槇原ワールド全開の観念的な表現もあって、理解するのが難しい部分もあるのですが、『「好きなモノは好き!」と言えるきもち 抱きしめてたい』のところは解り易くて、ストレートに心に入ってきます。  自分が好きな物(人)は、誰がなんと言ったって好きで良いんですものね♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪ メロディは独特のコード進行で音を取るのが困難な箇所も。

 「あの素晴らしい愛をもう一度」 フォークソングのジャンルではありますが、この曲はもはや日本のスタンダードソングです。 過去幾度となくリクエストされてきましたが、いつ何度歌っても、新鮮な感動を覚える楽曲でしょう。 美しいハーモニーが素敵でした。

 「TSUNAMI 」 サザンオールスターズの名曲ですが、一時ネーミングが災害を想起させるため、流されなかった時期もありました。(実際、サザンは未だライブでのこの歌の歌唱は封印しています) ただこの歌は究極の愛の歌、失恋ソングです。 洒落た言葉で綴られた歌詞は人の心を打ち、美しいメロディは快い陶酔を誘う様です。 『Hoo』のところ、リクエスト者のソプラノの本領発揮でした。

 「山の人気者」 曲中にヨーデル風の発声が取り入れられた歌謡曲ですが、原曲はレスリー・サロニーが1930年に発表した「The Alpine Milkman(アルプスのミルク屋)」で、世界中で歌われています。 日本では『キング・オブ・ヨーデル』の異名を持つ歌手、ウイリー沖山のレパートリーとなっているそうです。

 「心の旅」 チューリップの3枚目のシングルで、その前2曲はヒットせず、背水の陣として生まれた曲とのことです。 当初は作詞 作曲の財津和夫がボーカルを務める予定でしたが、レコーディング直前に、甘い声が魅力的な姫野達也に変更になったそうです。 印象的なサビを冒頭に持ってきたのもヒットの要因でしょう。

 「ビヤ樽ポルカ」 1927年に、チェコの音楽家ヤロミール・ヴェイヴォダが作曲したポルカです。 このキャッチーな曲は世界中で歌われていますが、日本では1965年『みんなのうた』で「青空のポルカ」として紹介され、東京放送児童合唱団が歌唱担当しました。
 因みに『ポルカ』とは、19世紀後半に流行した2/4拍子の活発な舞曲で、各小説の3番目の8分音符が強調されます。 名称はチェコ語のPolska(ポーランド娘)に由来していると言われています。

 「風と落ち葉と旅人」  松田りか、マミの姉妹フォークデュオ、チューインガムの楽曲で、きれいなハーモニーが持ち味です。 合唱曲にもなっていたので、音楽の時間に歌った方もいらっしゃるのでは?  高音部と低音部が上手く分かれると良いのですが… いえいえ歌声は合唱では無いので、ユニゾンでも部分ハモリでも何でもご自由にお歌い下さい٩( ᐛ )و

 「赤とんぼ」 日本の代表的な童謡唱歌で、この様な歌をいつまでも忘れずに歌えるのも『歌声サロン』の魅力ですね。 ゆったりとした曲調の歌は、郷愁を誘い穏やかな気持ちにさせてくれます。

 ラストリクエストは、前回も出された「島人(しまんちゅ)ぬ宝」 沖縄の言葉、風習も織り込まれたこの曲、BEGINのオリジナルでは途中『エイヤー サーサー』の掛け声が入ります。 一部の地域では「エイサーの歌」と言われていますが、『エイサー』とは沖縄県と鹿児島県奄美群島で、お盆の時期に踊られる伝統芸能のことで、祖先をあの世へ送り出す念仏踊りのことだそうです。

 ラストソングには久しぶりに「歩いて帰ろう」を歌って、楽しくお開きに。
 
 次回は1週間後の10月26日。 もう本日です。 ブログの執筆も覚束ない状態でしたが、何とか開催時間までにはアップされていることを祈っています(^_^;)

 11月はもっとイレギュラーで、次次回は11月16日の第3土曜日、10時から12時、なんと初の午前中開催です。 ご常連の方々はもちろんですが、夕方からの外出はちょっと難しい方のご参加、お待ちしています。

 昼間はまだ夏日も多く、狂い咲きの桜もちらほら🌸  おかしな気候に体調も狂いがちですが、皆さん本日のご参加よろしくお願い致します🙇‍♀️

神田陽子



 
Template Design: © 2007 Envy Inc.