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2025年6月27日金曜日

土曜夜の歌声サロンラウム~ 6月14日のご報告~ 神田陽子

  大雨の予報が出ていたこの日、やはり雨を心配してお休みの方もありましたが、その通り! 帰り道で滑って転んだりしたら… 想像するだけで悲しいし申し訳ない気持ちになります。 もちろんいつだって転んだり、他のアクシデントの可能性はあるのですが、そのリスクの高い場合は無理はしないこと! これは私が自分自身にも日頃言い聞かせていることです(๑˃̵ᴗ˂̵)

 それでも『雨ニモマケズ』いらして下さったお客様方と、いつものように歌声サロンは賑わいました🎶

 ファーストソングは「椰子の実」  誰もがよく知っている曲ですが、歌詞を書いたのは文豪島崎藤村です。 元は1898年(明治31年)の夏、伊良湖岬に滞在した柳田國男が、恋路ヶ浜に流れ着いた椰子の実のエピソードを藤村に語ったことから生まれた詩です。 その後1936年(昭和11年)に、この詩への曲を依頼された大中寅二が作曲して、この美しい叙情歌が誕生しました。 今期の朝ドラ『あんぱん』でも、若い出演者たちが浜辺で歌っていましたね。 娘曰く『当時の若者は、こんな歌、海で歌うんだ…』  当時のヒット曲だったのでしょうね🌴

 リクエストは「雨の物語」 イルカの曲ですが、作詞 作曲は「なごり雪」と同じ伊勢正三。 切ない男女の心情を正やんらしいメロディラインで歌っています。

 「雨の御堂筋」 『雨』は歌になり易い言葉の1つでしょうね。 タイトルのみならず歌詞に『雨』と云う言葉が使われている曲は本当に多いです☔️ この曲はザ・ベンチャーズが日本で発表したインストゥルメンタルシングルに、林春生が歌詞を付けたものを、欧陽菲菲がカヴァーして大ヒットしました。 
 ザ・ベンチャーズは、渚ゆう子の「京都の恋」「京都慕情」も作曲していますが、日本の情緒を深く理解している感性が素晴らしいですね。

 「旅立ち」 松山千春のデビュー・シングルで、おそらく土曜歌声ではお初リクエストでした。 『私の瞳が ぬれているのは…』で始まるこの曲の『私』は女性で、松山千春の恋の曲は女性の気持ちで歌うものが多いのですが、実に女心をよく捉えていると感心させられます。 (ホントに久しぶりに歌ったので、最後のメロディ間違えちゃって… ごめんなさい🙇‍♀️)

 「アル・ディ・ラ」 1961年のサンレモ音楽祭の優勝曲で、翌年のアメリカ映画『恋愛せ専科』の主題歌として、エミリオ・ペリコーリがヒットさせたカンツォーネの名曲です。甘い歌声がとてもチャーミングです。 
 アメリカでは、コニー・フランシスもカヴァーして歌っていますが、こちらも女性らしいロマンティックな歌い方で魅了されます。 因みに『al di la』とは『向こうに』とか、広義では『あの世』と云う意味らしいです。 リクエスト者とMr.Mのリードで。

 「ハナミズキ」 桜のあとを引き継ぐように街中を飾ったハナミズキの花ですが、日本から贈ったワシントンD.C.ポトマック河畔の桜の返礼として、1912年に日本にやって来ました。 別名は『アメリカヤマボウシ』 アメリカ同時多発テロの際に、一青窈が両国の平和と友情を祈って作った曲です。

 「恋はみずいろ」  ポール・モーリア・オーケストラの演奏で有名ですが、元は『ユーロビジョン・ソング・コンテスト1967』において、ヴィッキー・レアンドロスの歌唱で4位に入賞した曲でした。 イージーリスニングの代表曲としてBGMでの使用の頻度も高く、よく耳にする1曲です。 多くの言語で歌詞が書かれていますが、日本語は漣(さざなみ)健児の詩を、本家のヴィッキー・レアンドロスの他、あべ静江、森山良子らが歌っています。

 「ヴァケイション」 1962年リリースのコニー・フランシスの大ヒット曲。 日本語の歌詞は「恋はみずいろ」と同じ漣健児。 金井克子、伊東ゆかり、弘田三枝子らがカヴァーしていますが、コニー・フランシス自身も日本語バージョンでも歌っています。 元気の出る1曲です٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

 「ふれあい」 中村雅俊主演ドラマ『われら青春』の挿入歌で、下駄履きのバンカラスタイルで、中村雅俊自身が弾き語りで歌っていました。 素朴なフォークソングといった趣のこの曲、作詞は山川啓介、作曲はいずみたくです。 レコードB面の「青春貴族」もこのコンビで作られています。2015年のドラマ『民王』の中で、主演の菅田将暉がギターを弾いて歌っていましたが、両曲とも素直に青春を謳っています。

 「どうぞこのまま」  丸山圭子の1976年リリースのシングルです。 ボサノヴァ調のお洒落なアレンジが素敵な曲ですが、歌うのにはなかなか難曲です(汗) 男性のリクエスト者には、少しキーが低かったようなので、また調整して再チャレンジしたいと思います。 
 この曲を気に入っていた椎名林檎は、ホリプロスカウトキャラバンのステージでこれを歌唱しており、プロデビュー後もライブで度々披露しているそうです。

 「武田節」 これはまた珍しいリクエストでした。  1961年(昭和36年)に発表された民謡調歌曲で、作詞 米山愛紫、作曲 明本京静、歌唱 三橋美智也。 レコードはミリオンセラーを記録しています。
 山梨県では愛唱歌として広く歌われており、また日本舞踊の題材としても嗜まれています。
 甲斐の戦国武将 武田信玄とその配下の武士たちの出陣の様子を詠っており、曲の合間には『風林火山』の文句の詩吟もあり、リクエスト者が見事に朗詠して下さいました。

 「あなただけを」 元ジャニーズのあおい輝彦のソロシングルで、1976年にリリースされています。 作詞は元『GARO』のメンバー・大野真澄、作曲は元『猫』のメンバー・常富喜雄が担当しています。
 ノリの良いテンポで夏の海辺の恋を歌っていますが、ウェスト・コーストサウンド風にも感じられます。
 
 ここで前半終了。 お客様からの差し入れと、Mr.Mの伊良湖のお土産、私からも差し入れがあって、さながら茶話会のような休憩時となりました(╹◡╹)

 後半は、雨の季節の風物詩、三善英史の「雨」でリスタート☔️  『雨に〜』と、高音域での歌い出しで始まる歌ですが、大ヒットしたこともあって皆さんよくご存知です。 独特の節回しで歌われるこの曲は、『演歌・アイドル歌謡』と云うジャンルに入るようですが、リリースされた1972年の日本レコード大賞・新人賞と、日本歌謡大賞・放送音楽新人賞を受賞しています。

 リクエストは「タッチ」 定期的にこの歌が歌いたくなられるのでしょうか? リクエスト者の男性と女性陣のスタンディング・パフォーマンスでノリノリで歌いました♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪
 1985年に同名アニメ『タッチ』のオープニングテーマ曲として使われましたが、「狙いうち」「サウスポー」などと共に、高校野球の応援歌としての定番曲で、時代を超えたロングセラーです。

 「恋のフーガ」 印象的なイントロとザ・ピーナッツの伸びのある歌唱で1967年の大ヒット曲。 作詞 なかにし礼、作曲 すぎやまこういち の楽曲ですが、大胆なアレンジを施した編曲の宮川泰こそこの曲の功労者でしょう。 (ハモリ姫不在で残念…(๑˃̵ᴗ˂̵)

 「夏の思い出」 音楽の教科書に掲載されているので、この歌を知らない人はいないでしょう。 1949年にNHKからの依頼で、作詞 江間章子、作曲 中田喜直の当時の黄金コンビによって作られた楽曲です。 NHKのラジオ番組『ラジオ歌謡』で、石井好子の歌唱で紹介されるや否や、瞬く間に人々の心をつかみ、歌詞にある『尾瀬』の人気も高まりました。
 『夢と希望のある歌を』と依頼された江間は、以前訪れた尾瀬で見たミズバショウの情景からこの詩を書いたそうです。 
 作曲を担った中田喜直ですが、簡単にできた最初の曲を聴いた母親から『それは、お粗末ではないですか。すぐ作り直しなさい』と言われ、練り直して出来上がったのが現在の「夏の思い出」だそうです。 お母様、慧眼(けいがん)の持ち主だったのですねʕʘ‿ʘʔ

 「耳をすましてごらん」 335歌集の大人気曲で、度々リクエストされます。 1972年の朝ドラ『藍より青く』の主題歌で、ドラマの脚本を担当した山田太一が作詞をしています。
本田路津子の澄んだ美しい声でヒットしましたが、合唱曲にもなって広く歌われています。

 「愛のメモリー」 1977年に、三浦友和と山口百恵の共演した、グリコアーモンド・チョコレートのCMで流れたことで人気が出た曲ですが、元は前年にスペインのマジョルカで開催された『マジョルカ音楽祭』への参加曲でした。
 同音楽祭は、当時注目されていたヨーロピアン・ポップス界の登竜門的存在で、審査員にはフランシス・レイ、 ポール・モーリア、 ミシェル・ルグランなど錚々たる面々が名を連ねていました。
 参加にあたり、スケールの大きな曲を目指すこととなり、歌唱は松崎しげるに白羽の矢が立ったそうです。
 作詞のたかたかしは『万葉集』の一節から、作曲の馬飼野康二は、ヘンリー・マンシーニの「ひまわり」の様な曲をイメージして楽曲が完成したそうです。 当初のタイトルは「愛の微笑み」でしたが、CM使用後に「愛のメモリー」に変更されました。 壮大な構想のもとに作られた曲だったのですね。 静かに語りかける様な出だしで始まり、サビでは一気に歌い上げる… 緩急に富んだ名曲です。

 「大都会」 「愛のメモリー」に負けずとも劣らぬ『攻めた』曲が続きます。 1979年のクリスタルキングのミリオンセラーですが、この年の『ヤマハポピュラーソングコンテスト』グランプリ、『世界歌謡祭』グランプリ・歌唱賞を受賞しています。
 ツイン・ボーカルの1人、田中昌之の高音で始まるメロディは、力強くかつ美しく響きます。 もう1人のボーカル、ムッシュ吉崎は低音で男っぽさを強調しており、田中の突き抜ける様なハイトーンとの対比も素晴らしい曲です。 (が… 1人で歌うのは、声量、カロリー共に消費量ハンパ無ぇ〜(@_@) )

 「シルエット・ロマンス」  この歌、久しぶりのリクエストでした。2023年に亡くなられた大橋純子さんのヒット曲です。 
 作詞 来生えつこ、作曲 来生たかお姉弟の楽曲ですが、恋する女性の繊細で複雑な感情を見事に表しています。 『ああ あなたに 恋心ぬすまれて…』の歌詞には、恋をせずにはいられない、感情のコントロールが上手くできない女心が窺えます。 『もっと ロマンス 私に仕掛けてきて…』は、相手に対してより強い愛情表現を求めているのでしょうか? よくよく読んでみるとけっこう官能的な歌詞ですが、徐々に気持ちの高まりを感じさせ、最後の転調部分でよりいっそう高揚させるメロディも秀逸です。
  本日お初参加のお客様からで、歌声サロンにはずいぶん前にラウムのイベントに参加されたことがあるそうで、お帰りの時に感想をお聞きしたら『とても楽しかった!』とのことで、嬉しく思いました。 

 「花と小父さん」  はまくらさんのニックネームで有名な浜口庫之助の作詞 作曲で、伊藤きよこでヒットした曲です。 
『小さい花に くちづけ』したのは『僕』なので、『小父さん』の気持ちだと分かります。 花の性別は分かりませんが、『私』と言っている擬人化された『花』は女の子のような気がしますね。 可愛らしい曲調のこの歌を、実はクレイジーキャッツの植木等も歌っています。 どちらかと言えば、伊藤きよこがカヴァーした感じです。 当時、C調で破天荒な歌ばかり歌っていた植木は、『このままだと普通の歌が歌えなくなるのでは』と悩んでいたらしいのですが、そんな彼にはまくらさんが、「花と小父さん」を提供したそうです。 ちょっと聴いてみたら、さすが、元々ジャズシンガーだった植木等ですから、甘い声で素敵な歌声です。

 「東京の花売娘」 終戦直後の1946年(昭和21年)に発表された、岡晴夫のヒット曲です。
明るく晴れやかに歌われ、戦後の復興期の人々に元気と希望を与えてくれた1曲です。
 『柳の辻で花を売る娘の姿』『ジャズが流れるホールの灯影』『アメリカ兵の影をお追う』などに当時の風景が垣間見えます。

 「小雨降る路」 コンチネンタル・タンゴの代表曲として有名な曲です。 ヘンリー・ヒンメル作曲で、シャンソンとしても認知されていますが、タンゴのリズムで情熱的に歌われるので、やはりジャンルとしては、アルゼンチン・タンゴに比べて品の良さが感じられるコンチネンタル・タンゴでしょう。

 ラストリクエストは、「アカシアの雨が止むとき」  1960年発売の西田佐知子のヒット曲です。 この歌の『アカシア』は『ニセアカシア』らしく、日本ではこの花が最初『アカシア』として紹介されたため、『ニセアカシア』が『アカシア』として定着してしまったそうですが、実は別物らしいです。 西田佐知子は最初この曲を歌うのに苦労していたそうですが、作詞の水木かおるから、この曲のモチーフが芹沢光治良の小説『巴里に死す』だと聞いて、パリの風景をイメージして歌うようにしたと、ご本人が語っています。 
 頽廃的のなムードのこの曲は、当時安保闘争に疲弊していた学生たちの共感も得たらしいです。

 この日は「椰子の実」で始めたこともあり、お別れ曲にも同じ唱歌「夏は来ぬ」を選び、お開きとしました。 このような唱歌を歌えるのも、歌声サロンの良いところです。 童心に帰り、清らかな気持ちで歌えますね(#^.^#)

 次回は6月28日。 もう明日に迫っています。 今後の予定ですが、また変則的で、7月5日の第1土曜日、12日の第2土曜日と、明日から3週連続で開催いたしますが、その後は8月9日まで1ヶ月近くお休みになりますので、お間違えなき様ご確認よろしくお願い致します。
 常より早い梅雨明けも間近ですが、例年よりも猛暑の訪れも早く、厳しい暑さに悩まされますが、水分・睡眠・栄養をたっぷり摂って、暑さに負けないよう、元気に歌ってまいりましょう♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪
 (3週連続開催… と云うことは… ブログ原稿も3週連続で執筆することに(^◇^;)
 がんばれ!私 o(^-^)o(自分を叱咤激励)

では、明日お待ちしています。お気をつけていらして下さいね。

                             神田陽子