今月の歌・語り
4月
みどりのそよ風
清水かつら 作詞
草川 信 作曲
ラウム歌集525 31ページ記載
緑のそよ風 いい日だね~♪
緑のそよ風 いい日だね~♪
涼やかな風、緑の香りが漂つてきそうな爽やかなメロディと、楽しげな子供たちの情景を描いた歌です。昭和21年にNHKの委嘱により作られたこの曲は、元来は独唱曲でしたが、翌年から始まった「全日本児童唱歌ラジオコンクール」で二部合唱でよく歌われるようになりました。当時、ラジオからよく流れていた美しいハーモニーを、懐かいく思い出される方もいるのでは?
戦前、子供の歌は「合唱があると流行らない」と考えられ、「スキー」や「山の子供」などいくつかの例外はあるものの、合唱曲は避けられることが多かつたそうです。ところが、戦後になり、放送や音楽教科書を通じ、多くの合唱曲が発表され、また歌われるようになりました。
「全日本児童唱歌ラジオコンクール」でも、多くの合唱曲が歌われましたが、そのきっかけとなったのが、この「みどりのそよ風」であったそうです。ソロだけでなく、「みんなで歌う楽しみ」がひろく知られるうになったこの頃。この歌が生まれたころは、のちに生まれる「うたごえ」の原点の時代であったともいえるかもしれません。
作曲の草川信は、他に「どこかで春が」「春の唄」(野口雨情詞)など春の訪れを喜ぶ歌をたくさん作曲しています。明るくのびやかで、覚えやすいメロディという彼の作風は、この作品にも存分に生かされているようです。草川は、昭和23年2月に亡くなりましたが、亡くなる直前、ビクターでこの曲をレコーディングしたのだとか。
さて、1番から5番まであるちょっとだけ長い曲ですが、どの詞もまるで挿し絵のように心の中に情景が豊かに浮かんできます。みなさんのお気に入りは何番ですか?