8月27日の土曜歌声は、前回から40日余りのブランクの後でもあり、お待ちかねムードの中始まりました。
ファーストソングには終わったばかりの夏の甲子園を偲び、「栄冠は君に輝く」を選びました。 東北地方100年の悲願が成り、仙台育英高校が優勝。 遂に深紅の大優勝旗が「白河の関」を越えた感動の夏でした。
リクエスト1曲目は「バルカンの星の下に」 第二次世界大戦中にブルガリアにいたソ連軍兵士が故郷を懐かしんで歌ったとされていますが、日本では長くうたごえ運動の歌として定着してきたそうで、ダークダックスも歌っています。
「百万本のバラ」「心の旅」「PRIDE」とそれぞれ魅力たっぷりの3曲を歌い、お次は「少年時代」 もはや日本のスタンダードの1曲となっているこの歌。音楽の教科書にも掲載されており知らない人はいないと思われますが、今回少し調べてみると知られざる事実がいくつか出てきました。
まずこの曲は1990年公開の同名映画の主題歌で、この映画の原作は藤子不二雄A氏の同名漫画と、柏原兵三氏の小説「長い道」のコラボレーション。昭和19年の富山を舞台に、少年たちの友情と葛藤を描いたものです。 私はテレビで観たことがあるのですが、豊かな自然の映像にこの曲がぴったりハマり過ぎていたことを思い出します。
歌詞の中にある「風あざみ」と云う言葉は井上陽水の造語とのことですが、陽水の歌にはこの様な造語が散見され、独特な陽水ワールドを作り上げています。
「山のかなたに」 作詞 西条八十、作曲 服部良一のこの曲は、石坂洋次郎の小説が原作のこれも映画の主題歌です。
「真夜中のギター」 当サロンで人気の高いこの曲は昨年亡くなった私の父もお気に入りで、よく自身のアコーディオンと孫娘のピアノで合奏していたことが思い出され、ちょっぴりセンチメンタルな気持ちになってしまいました。
「風」 1969年リリースのはしだのりひことシューベルツのヒット曲ですが、55年近く前の曲とはとても思えないほど、その感性には共感できます。
「愛のメモリー」 これは本当に音域も広く、歌うのに苦労する難曲です。 サビの部分ではテンション爆上がりですが、対照的にAメロ、Bメロは、静かに語りかける様に歌うメリハリのはっきりした歌だけに難しいです。
「インシャラー」 私もラウムですっかりお馴染みになったこの歌を、リクエスト者のリードで高らかに歌い上げ、前半終了。
「花はどこへ行った」 この歌は世界で最も有名な反戦歌で、世界中の言葉で歌われているそうです。 525歌集に日本語版は入っていますが、今回英語でも歌いたいと思い立ち、手書き(アナログ人間なので・・笑)の歌詞を配り後半スタート。
「Where have all the flowers gone ? 」で始まる英語の歌詞は、シンプルですがそれ故に戦争への怒り、愚かさがストレートに伝わると思います。
8月、日本は鎮魂の月です。そしていつ終わるとも知れないロシアとウクライナの戦争が、1日でも早く終結することを祈って歌いました。
リクエストは「喝采」 歌唱力に定評のある、ちあきなおみさんの大ヒット曲です。 当初、ちあきなおみ本人の実体験と言われていましたが、事実は少し違う様で、たまたま似たような辛い経験があったことからその様に伝わったみたいです。
作曲者の中村泰士は、演歌などでよく使われる「ヨナ抜き音階」を使いこの曲を作曲しており、本人会心の出来だったとのことです。
「チャンピオン」 ボクサーをテーマにしたアリスの男っぽい曲ですが、最後の「ライ ラライ ラライ ラライ・・・・」の歌詞は、サイモン&ガーファンクル「The Boxer」の「Lie la lie・・・」のオマージュと思われます。
「心の瞳」 一転して穏やかな曲調の歌です。 坂本九さんの最後のシングルで、彼の死後由紀子夫人と2人の娘さんが歌い継いできました。 のちに合唱曲にもなった素晴らしいこの歌を、歌声サロンでもずっと歌い続けていきたいものです。
「ブルー・シャトー」 ジャッキー吉川とブルー・コメッツの最大のヒット曲で、なぜか可笑しな替え歌も流行りましたが、作曲者の井上忠夫(後に大輔に改名)のフルートアレンジが斬新な曲でした。 お洒落な曲調ですが、これも「ヨナ抜き音階」だそうで、「外国のリズムと、日本のメロディの新しい組み合わせ」を目指したとのこと。 他のグループサウンズとは一線を画した紳士的な雰囲気も素敵でした。
「海は目をつぶる」 私はお初曲でしたが、故郷の母を想う悲しげなムードの曲が、途中からガラッとリズムも調子も変わって明るく歌う不思議な感じの歌です。
「帰れソレントへ」 これも大人気曲の1つですが、今回は意外な方からのリクエストでびっくり! でもいつものごとく、皆さんの大熱唱で盛り上がりました。
「長崎の鐘」 原爆忌の8月にこそ相応しい歌ですが、決して忘れてはならない原爆の悲劇をこの歌を歌うことで再認識させられますね。
「戦争を知らない子どもたち」 この歌ができた1970年には、まだ「戦争を知っている大人たち」がたくさんいて、折に触れ「戦争中は、、」と聞かされたものです。 今、戦争を知っている人々がどんどん少なくなり、実体験を聞く機会も失われつつあります。 しかし今日、より鮮明になった映像が戦争の悲惨さを如実に教えてくれます。 この夏、NHKの戦争特集をいくつか観ました。どれも地獄のような凄惨なもので、目を背けたくなるようなものばかりでした。 特に前途ある若者たちが、「お国のために」とその命を純粋に捧げようとすることに、時代とは言え無念さばかり感じました。
反戦歌と言われる数々の歌を歌っていくのは、もはや「戦争を知らない私たち」に課せられた唯一のミッションのようにも思えます。
「悲しき口笛」 切ない余韻を残すメロディが素敵ですが、不世出の天才歌手美空ひばりが、わずか12歳で歌った曲です。
「ひまわり」 戦禍のウクライナに咲き誇っていたひまわりの花は、今どうなっているのでしょう?🌻🌻🌻 リクエスト者の素晴らしい歌声でリードして頂きました。
Mr.Mから「愛の讃歌」を、ピアニストから「ケセラセラ」をリクエストしてもらい、最後は「歩いて帰ろう」でお開きに。
次回は9月10日です。 これを書いている今、少しずつコロナ感染者は減少しているようですが、まだまだ油断はできません。 引き続き感染対策にぬかり無く開催したいと思います。 皆さまのお越しをお待ちしております。
尚、この日にご案内させて頂いたピアニストの大学同門コンサートには、急だったにも関わらず、土曜歌声メンバーの皆さんにたくさん来て頂き本当にありがとうございました。
日頃と違うクラシックのピアノ演奏もお楽しみ頂けたなら幸いです。
神田陽子