2025年10月11日土曜日
土曜夜の歌声サロンラウム~9月27日のご報告~ 神田陽子

 9月最後の土曜歌声も大勢のお客様に来て頂き、大いに賑わいました♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪

 前日に終了した朝ドラ『あんぱん』 評判のドラマだったのでロスになっている人もいらっしゃるのでは?(私も若干ロス気味…😢)

 『アンパンマン』誕生までの長い日々が描かれていましたが、全編を通しての命題『逆転しない正義』とは? 戦時中恐ろしいまでの飢餓を経験したやなせたかし氏が、自分の顔を食べさせるアンパンマンを生み出したのも、『人間はとにかく食べる物が無いと生きていけない』と云う、しごくシンプルな結論に達したからでしょう。
 他人を思いやる優しさの大切さと、自分の生まれてきたことの使命を考えさせる… そんな歌詞で満載の「アンパンマンのマーチ」 ドラマを観た後ではよりその想いを強く感じられるのではと思い、ファーストソングに選びました。

 リクエストは、本日土曜歌声お初参加のお客様から「Believe」 当サロンでも人気のある1曲で度々歌ってきましたが、歌詞を読むと奇しくも紹介曲「アンパンマンのマーチ」の世界観に通じるものがあるように思えます。 
 『たとえば君が 傷ついて くじけそうに なった時は かならず僕が そばにいて ささえてあげるよ その肩を』 『世界中の やさしさで この地球をつつみたい』のフレーズからは、究極の優しさを感じられますね。

 「北の旅人」 石原裕次郎の死後発表された曲ですが、いかにも裕次郎らしい歌謡曲です。  後にテレサ・テンもカヴァーしていますが、ギターのイントロもアレンジもほぼ同じなのに、テレサの美しい声で歌われると切なさでいっぱいになります。今更ながら2人とも早過ぎる死が惜しまれます。

 「私に人生と言えるものがあるなら」  アメリカ民謡ですが、笠木透さんの歌詞で、高石ともや擁するザ・ナターシャー・セブンが歌いました。 フォークソングにカテゴライズされますが、バンジョーなども使われてカントリー・ポップスの雰囲気で明るい曲調です。

 「白いブランコ」  兄弟デュオ『ビリー・バンバン』のデビュー曲です。 先頃、兄の菅原孝氏が死去されたので、追悼の想いで歌いました。 晩年は車椅子でテレビにも出演されていましたが、残された弟の進氏の寂しさは察するに余りありますね。

 岡本真夜「トゥモロー」  いわゆる『サビ頭』と言われるサビで始まる曲ですが、サビを冒頭に持ってくることでインパクトが強く、曲のイメージをつかみ易くなる効果があります。
 松田聖子「青い珊瑚礁」 いきものがかり「ありがとう」 さだまさし「道化師のソネット」などもこのパターンです。

 中島みゆき「地上の星」 『新プロジェクトX〜挑戦者たち〜』が始まったこともあって、テーマソングのこの曲もリクエストされることが増えてきました。 
 『地上の星』とは、名も無き地上の人々のことで、誰からも讃えられることは無くとも、一生懸命に働き生きていることは素晴らしい… それを敢えて逆説的に歌っている様な歌詞が散見されます。
 『地上にある星を 誰も覚えていない 人は空ばかり見てる』 『名立たるものを追って 輝くものを追って 人は氷ばかり掴む』 これらのフレーズには『虚無感』が見られますが、本当に世の中を支えているのは、この様に忘れられていく無名の人々なのだと教えてくれる名曲です。

 「YOUNG MAN」 1979年リリースの西城秀樹のシングルですが、原曲はアメリカで大ヒット中だったヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A.」です。 渡米してこの曲を知った西城秀樹自身がカヴァーを申し出たそうです。
 皆さん、スタンディング・パフォーマンスで、『Y』『M』『C』『A』とジェスチャー付きで歌って下さいました٩( ᐛ )و🎶

 「心もよう」 井上陽水の名バラードで、陽水の素晴らしいワード・センスが光ります。
『あざやか色の春はかげろう』『まぶしい夏の光は強く』『秋風の後(あと)』『雪が追いかけ』と、季節の移ろいの中で、恋する気持ちも変化していく… 「心もよう」と云う言葉は、そんな心情を表すのに唯一無二の表現だと思います。

 「兵隊が戦争に行く時」 『インドシナ戦争の時の歌で、イヴ・モンタンが歌いました。』とは博識なリクエスト者のお言葉。 フランシス・ルマルクの作詞 作曲です。 この曲の出た1952年当時は、ちょうど第一次インドシナ戦争のさなかで、あきらかに戦争を批判する意図をもったこの曲は、士気にかかわると云うことで、フランス本国では放送が禁止されたそうです。 軽快なテンポで歌われ、歌唱したイヴ・モンタンの代表作のひとつとなっています。

 「秋の子」 作詞 サトウハチロー、作曲 末広恭雄のこの曲は、1954年に刊行された雑誌『アサヒグラフ』の記事『新童謡歳時記』に、楽譜付きで掲載された童謡です。
 穏やかな風景が目に浮かぶような歌ですが、歌詞には一昔前の子供たちの様子が窺え、我慢をしたり、子守りをしたり、さみしくなったり… そんな子供たちの姿が描かれています。
 尚、作曲の末広恭雄氏は『東大の魚博士』と異名をとるほどの研究者でありながら、生来の音楽好きが高じて、作曲活動との二足のわらじを履くことを選んだそうで、「秋の子」を作曲する1年前には、東大の学生歌「足音を高めよ」も作曲しています。

 「私の愛した街」  切なさの漂うメロディで歌われるこの曲も、当サロンではよくリクエストされるので、私を含めこの歌声サロンで覚えた人も多いことでしょう。
 歌詞に出てくる『デリーの街』は北アイルランドのロンドンデリーのことです。 1972年にここで起きた、イギリスへの公民権要求のデモ行進中の銃撃事件、いわゆる『血の日曜日事件』をテーマにした曲で、原題は「The Town I Loved So Well」 優しく穏やかな曲調ですが、それ故抑えきれない悲しみと怒りが感じられます。

 「枯葉」 秋のシャンソンと言えばまず思い浮かぶのがこの曲でしょう🍂  長いヴァース(序奏部)部分は語る様に歌われるので、一斉に合わせるのはとても無理ですから、各々ご自分のペースで歌って頂ければ良いと思います。 イヴ・モンタンが美しいフランス語で歌っているのも素敵ですが、日本語の歌詞も秀逸だと思います。 華麗なピアノアレンジも楽しめる1曲です。

 久しぶりに参加されたハモリ姫から『私も追悼で…』と出されたのは 「さよならをするために」 これもビリー・バンバンの名曲で、菅原孝さんを偲んで歌われましたが、哀切感漂うメロディが悲しみを誘います。

 「愛しき日々」 1986年リリースのアリス 堀内孝雄のシングルで、日本テレビ系の年末時代劇『白虎隊』の主題歌でした。
 作詞は小椋佳で、作曲は堀内孝雄が担っています。 『愛しき日々の はかなさは 消え残る夢 青春の影』のフレーズは、若い命を散らした白虎隊の無念さを歌っているのでしょうか? 

 「マイ・ウェイ」 世界中で最も有名な曲の1つと言っても過言では無いこの曲は、アメリカの不世出のシンガー フランク・シナトラの楽曲ですが、岩谷時子さんによる日本語の歌詞も素晴らしいです。 リクエスト者の見事なリードで歌い上げ、前半終了です。 お客様からと私からの差し入れで小腹を満たしました(๑>◡<๑)

 いきなりリクエストで後半再開です。 

 「瑠璃色の地球」 1986年にリリースされた松田聖子のアルバム『SUPREME』の中の1曲です。 シングルカットされていないのに人気が高く、合唱曲として高等学校の音楽の教科書にも掲載されています。
 美しい歌詞とメロディが織りなすこの曲独特のムードが、歌っていると不思議と穏やかな気持ちにさせてくれます。
 多くのアーティストにカヴァーされていますが、辛島美登里、沢田知可子、手嶌葵といった、綺麗な声の女性シンガーに好んで歌われています。

 「みずいろの雨」  名古屋出身アーティスト、八神純子の1978年リリースのシングルで、彼女の最大ヒット曲となっています。 これも高音部のサビから入る、いわゆる『サビ頭』の曲で、アレンジにサンバホイッスルを使ったりと、緩急に富んだ仕上がりになっています。 リズミカルに歌わなければならず、なかなかの難曲です(⌒-⌒; )

 「ケ・サラ」 この曲は、1971年のサンレモ音楽祭で発表されたポピュラー音楽の楽曲で、同音楽祭で2位に輝きました。
 『Che Sara』はイタリア語で『どうなるだろうか?』と云う意味ですが、この曲では『なるようにしかならない』と云うニュアンスで歌われています。
 岩谷時子さんの日本語の歌詞も素晴らしく、『誰も分かりはしないさ』のフレーズには、どうなるか分からない人生の真髄があるように思えます。

 「あの素晴しい愛をもう一度」  今やこの曲を知らない人はいないでしょう。 日本のスタンダード・ナンバーのひとつで、作詞 北山修、作曲 加藤和彦のコンビが歌唱しています。 元はシモンズのデビュー曲として用意されたものですが、作詞も作曲もそれぞれ1日で仕上がったこの曲を2人はとても気に入って自分たちで歌うことにしたみたいです。 合唱曲にもなったりして歌い継がれてきましたが、この日も素敵なハーモニーが流れました。

 「PRIDE」 1996年リリースの今井美樹最大のヒット曲で、当時プロデューサーとして関わっていた後の夫 布袋寅泰が、作詞・作曲・編曲とギター演奏で参加しています。
 ドラマ『ドク』の主題歌で、ドラマの評判と共にこの曲も注目されされました。ロマンティックな歌詞とメロディは、ハードロックの印象が強かった布袋寅泰のイメージを変えた1曲です。 

 「異国の丘」 シベリア抑留の兵士の間で歌われていた歌謡曲で、強い望郷の想いが綴られています。 元は吉田正がシベリア抑留中に作曲した「昨日も今日も」で、戦後まで作曲者が誰か判明しなかったそうです。 

 「涙のリクエスト」 1984年リリースの、チェッカーズの2枚目のシングルです。 
タイトルの入った『涙のリクエスト 最後のリクエスト』のサビをスローに歌い上げて、短い間奏に続いてテンポアップで歌う緩急のある曲です。 久しぶりのリクエストでしたが、スタンディング・パフォーマンスで盛り上がりました٩( ᐛ )و🎶

 「フニクリ・フニクラ」 これもお馴染みの曲で、登山列車に乗って火の山ヴェスヴィアスに登ったり降りたり… 愉快に楽しく歌って… ラストは声高々にロングトーン!

 「ラヴ・イズ・オーヴァー」 元は欧陽菲菲の「うわさのディスコ・クィーン」のB面曲だったものが、こちらの方が人気が高くなっていったので、1980年に新たにA面曲として発売されたと云う経緯があります。
 Aメロで『あなた』と呼んでいるのに、サビでは『あんた』に変わっていますが、その部分は作詞の伊藤薫が最もこだわったポイントのひとつだったそうです。 別れを切り出すのに、最初は冷静に『あなた』と呼んでいても、次第に気持ちが昂(たかぶ)って、つい『あんた』と以前の呼び方になってしまう… 揺れる女心がこの言葉1つで解るのですね。
 また曲のラストは本来『ふりむかないで』で終わるはずだったのが、欧陽菲菲がアドリブで『Love is over Uh…』と歌ったそうで、これを気に入った伊藤が『元気でいてね  Love is over…』の歌詞とメロディを急遽追加したそうですが、グッと洒落た仕上がりになっていますね。

 「収穫の歌」 私はお初曲のロシア民謡でした。 レパートリーの幅が広いリクエスト者と、Mr.Mのリードで歌いましたが、思ったよりハイテンポで、陽気に力強く収穫の喜びを讃えています。

 「囚人の歌」 ロシア民謡が続きます。 この歌は度々リクエストされているので、皆さんすっかりお馴染みになっていますね。 重いタイトルに似合わず、穏やかな曲調です。
 原曲はロシアの古い民謡で、そのメロディを音楽家レオ・ポル(本名レイブ・ポルナレフ)が採譜・編曲したものに、作家で政治家のモーリス・ドリュオンがフランス語の歌詞を付け、イヴ・モンタンが歌ってヒットさせました。 日本語の歌詞はフランス語の歌詞にほぼ忠実のようで、それによると『享楽的な生活を送っていた若者が罪を犯して、漕役刑囚(ガレリアン galerien)になり、母親の戒めを聞かなかったことを後悔している』と云う内容のようです。
 尚、レイブ・ポルナレフは、「シェリーに口づけ」や「愛の休日(Holidays)」などで有名な、フランスの人気歌手ミッシェル・ポルナレフの父です。

 「さびしいカシの木」 当サロンでも何度も歌ってきたこの曲。 作詞は『アンパンマン』の作者 やなせたかし氏です。 朝ドラ『あんぱん』終了に合わせたかのようなリクエストでした。 
 「アンパンマンのマーチ」同様、やなせ氏の生き様を知った後に歌うと、また感慨深いものがあります。 やなせたかし氏は『人生は寂しいものだ』と思っていたそうですが、実の父親とは早くに死別し、実母とも離れて暮らさなければならなかった境遇を考えれば『なるほど』と。 けれど、伯父夫妻にも大切にされたようですし、実母とも後に会えるようになったこと、ましてや最愛の妻とは仲睦まじく暮らした後年を見ると、それほど寂しい人生では無かったように思えますが…
  曲のラストに『さびしいことに なれてしまった』と2回繰り返されますが、決して絶望している訳では無く、孤高のカシの木は凛と佇んでいます。 やなせ氏の『寂しさ』の感情と共に生きた人生は、また多くの『愛』にも恵まれ、それ故に優しいヒーローを生み出せたのではないでしょうか?

 「あの鐘を鳴らすのはあなた」 和田アキ子の代表的な楽曲で、度々リクエストされる人気曲です。 静かな歌い出しで始まり、『町は今眠りの中 あの鐘を鳴らすのはあなた…』とサビに入る頃から、高まっていく感情が徐々に溢れてきます。 作詞 阿久悠、作曲 森田公一の珠玉の1曲です。

 「愛はかげろう」 1980年の『第19回ヤマハポピュラーソングコンテスト』で優秀曲賞を受賞した、フォークデュオ『雅夢』の楽曲です。 彼らは中京大学在学中で、後にこの曲が『ザ・ベストテン』にランクインした時、大学キャンパスから中継されました。
 作詞 作曲の三浦和人は、『失恋の痛みから抜け出すために書いた曲で、あえて女言葉で女々しい表現にした。』と語っています。 サビの旋律には自信があったそうで、その美しいメロディは多くの若者の心に響きました。
 私も大好きな曲ですが、何年かぶりのリクエストにテンポが速くなり過ぎてしまい、ピアニストに迷惑をかけましたm(_ _)m

 「平城山(ならやま)」 格調高い和製クラシックです。 1935年(昭和10年)に、短歌雑誌『草の実』創刊10周年を記念して、歌人北見志保子の依頼で当時25歳の平井康三郎が作曲した楽曲です。 
 平井康三郎自身が、歌集の中から自由に短歌を選び組み合わせて『三部作』として作曲した芸術歌曲だそうで、『芸術歌曲』とは?と問われた、平井康三郎の孫である指揮者・作曲者の平井秀明は次のように語っています。
 
『 芸術歌曲とは、芸術性の高い歌曲のことで、歌のパートの芸術性は言うまでも無く、ピアノも単なる伴奏に留まらず、ソロのように非常にピアニスティックなこともあれば、一音一音のハーモニー、音色、リズムなどの変化で情景描写の役割を担うこともあります。 そのため、歌手とピアニストのアンサンブルは、良い演奏には不可欠な要素となります。』
 
 う〜ん…難しい(⌒-⌒; ) リクエスト者とピアニストのにわか共演はいかに? 素晴らしい歌声とピアノ演奏が楽しめたのでは?

 この日も様々な歌をたくさん歌いました。 こんなに多岐にわたるジャンルを網羅している歌集も無いのでは? 皆さんがリクエストされる一つ一つの曲から、新しい発見や感動がもらえる気がします(╹◡╹)

 この日のラストソングは、Mr.M選曲の「谷間の灯(ともしび)」 アメリカ民謡で、原題は「When It’s Lamp Lighting Time in the Valley」 郷愁を誘うメロディは、お別れ曲にぴったりですね。
  
 さて次回は、10月11日( 本日です^_^)  日も短くなり、黄昏時(たそがれどき)にお会いすることになるでしょう。 お気をつけていらして下さい。

神田陽子



 
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