2025年10月25日土曜日
土曜夜の歌声サロンラウム~ 10月11日のご報告~ 神田陽子

  10月に入っても昼間はまだ半袖で過ごせる今年の秋ですが、この日もラウムは皆さんの歌声で賑わっておりました。

 秋(まだあまりそれっぽくありませんが…)に因んで、ファーストソングには「思秋期」を選びました。 
 1977年リリースの岩崎宏美のシングルで、作詞 阿久悠、作曲 三木たかしの作品です。
歌詞もメロディも秀逸で、全編を通して切なく美しい思い出を語っています。 テーマはやはり『恋をした青春』でしょうか? その『青春』を『こわれもの 愛しても傷つき』『忘れもの 過ぎてから気がつく』と表現する阿久悠の感性には脱帽ですが、阿久悠自身も『この曲は名曲だと思う』と自負されていたようです。 各々が、歌詞にある18〜19歳の頃を思い出しながら歌われていたのではないでしょうか?

 リクエストは「パリの空の下」 秋にシャンソンは似合い過ぎます。 特にこの曲は「枯葉」と共に秋によくリクエストされるような。 マイナー(短調)とメジャー(長調)が巧みにミックスされたメロディはお馴染みでしょう。 原題は「Sous le ciel de Paris」で、フランス映画『巴里の空の下セーヌは流れる』の挿入歌でもあります。 多くの歌手がカヴァーしていますが、エディット・ピアフやイヴ・モンタンの歌唱が有名です。

 「恋はみずいろ」 ポール・モーリア・グランド・オーケストラのインストゥルメンタルの曲として有名ですが、元はいわゆる『歌もの』で、作詞 ピエール・クール、作曲 アンドレ・ポップというフランス人コンビの曲でした。  ヨーロッパ最大の権威ある音楽祭『ユーロビジョン・ソング・コンテスト』で、ヴィッキー・レアンドロスが歌い、4位に入賞したことでこの歌は世に出ます。 
 その後、ポール・モーリアの素晴らしいアレンジで1968年にリリースされると、全米5週連続1位、年間チャート2位と云う大成功をおさめることになります。

 「シクラメンのかほり」 1975年にリリースされた布施明のシングルですが、作詞 作曲は小椋佳です。 歌詞は北原白秋の全集から、小椋佳が気に入った言葉を抜き出して当てはめた『借り物』だったこともあって、小椋本人は気に入っていなかったようで、自身ではレコーディングせず長くお蔵入りにしていたそうです。
 布施明の歌唱力と相まって大ヒットした曲ですが、当初信じられない思いでいた小椋佳も後にセルフ・カヴァーしています。 歌い上げる布施明バージョンとは違って、フォークソングテイストで歌われていますので、聴き比べてみるのも良いと思います。

 山本コウタローとウィークエンド「岬めぐり」 トワ・エ・モワ「誰もいない海」 中島みゆき「時代」の人気曲を続けて歌いました。  『今はもう秋…』で始まる「誰も…」は、やはり秋に歌われると季節感がありますね。

 「ロシア私の故郷」  『美しい故郷を歌っているのに、今のロシアは…』と、長引くウクライナとの戦争を憂えるリクエスト者とMr.Mのリードで歌いました。 ロシア民謡らしい、気持ちを高揚させる旋律が素敵な1曲です。

 「エリカの花散るとき」 1963年(昭和38年)リリースの西田佐知子の楽曲ですが、この曲は「浜辺と私」のB面曲でした。 有線放送などで当楽曲の人気が徐々に高まっていき、同年の『第14回NHK紅白歌合戦』では、西田佐知子はこの曲を歌っています。 作詞 水木かおる、作曲 藤原秀行のコンビは、西田の代表曲「アカシアの雨がやむとき」も手掛けています。 
 『エリカの花』は、ツツジ科エリカ属の低木で、ピンク、白、オレンジ色の鈴のような花が細い枝にびっしりと咲きます。 ヨーロッパでは『ヒースの花』としてエミリ・ブロンテの『嵐が丘』の中で描写されるように、荒野でも強く咲く花として知られています。
 花言葉は『孤独』『寂しさ』『博愛』 別れた後もなお恋心を持ち続ける女性を歌った、この曲のテーマに合っているように思えます。

 「神田川」 1973年リリースの『南こうせつとかぐや姫』の曲で、爆発的ヒットを飛ばし最終的に200万枚以上売り上げたと言われています
 作詞の喜多条忠の実体験が元になっているそうで、彼が『青春時代の総括』のつもりで30分ほどで書き上げた歌詞を電話で聞き書きしながら、即興で浮かんだメロディを口ずさんでいた南こうせつですが、これもまた電話を切った3分後には曲が完成していたというのですから驚きです。 (これを知って、夢の中でメロディが流れて、起きてすぐメモしたと云うポール・マッカートニーの「Yesterday 」の逸話を思い出しました。)
 『いつも私が待たされた…』とあり、どんな長風呂の男の人なんだと思っていましたが、実際は喜多条が風呂屋の金魚に餌をやったり、テレビのプロレス中継を見たりして彼女を待たせていたのが真相だそうです。 
 今歌っていると隔世の感がありますが、当時学生時代を送った人たちにとっては『青春のバイブル』的な1曲でしょう。

 人気のシャンソン「サン・トワ・マミー」 何度聞いても忘れてしまうフランス語のタイトルですが、フランス語の達人に再度教えて頂きました。 『あなたなしでは』 そこから『私の愛しい人』という意味もあるそうです。

 「海岸通」 何年かぶりのリクエストでした。 1975年に『風』のファーストアルバムの収録曲でしたが、1979年にイルカがカヴァーしてヒットしました。 イルカの大ヒット曲「なごり雪」と同じく、伊勢正三の作詞 作曲で、優しい歌詞もメロディも本当に素敵な曲です。 船で離れる恋人を見送るシーンは、ロマンティックですが切なさでいっぱいになります。 そんな想いが随所に溢れていますが、特に『あなたをのせた船が 小さくなってゆく』のラストフレーズは、目の前にその情景が浮かんできますね⛴️

 「22才の別れ」 伊勢正三作品が続きます。 この曲は本当に人気があってよくリクエストされますが、『22才』と云うのは人生のターニングポイントのひとつかも知れませんね。 卒業、就職、結婚、出産… 人によって様々でしょうが、節目になる歳なのでしょう。

 これもよくリクエストされる「ステンカラージン」を、リクエスト者のリードで歌って前半終了です。

 お客様からの差し入れを皆さんで頂きました😋

 後半は紹介曲「Danny  Boy(ダニー・ボーイ)」でリスタート。 ラウムには『ラウム100』という洋楽中心の歌集もあり、年1回この歌集を使っての『JAZZ &POPS』の歌声イベントも開催されています。 この歌集の宣伝も兼ねて、よく知られていそうな曲を選びました。 アイルランド民謡「ロンドンデリーの歌」とか「ロンドンデリー・エアー」としてお馴染みの旋律に歌詞を付けたもので、割と解り易い英語で書かれています。 日本語の歌詞は、なかにし礼によるものが有名らしいですが、『ラウム100』の日本語は平原綾香が書いています。 字余り的で曲に乗せにくいのですが、そこは適当に合わせて…(^.^)

 リクエストは「ルビーの指輪」 寺尾聡の大ヒット曲でよく知られている曲ですが、この曲が出た1981年には、これと「SHADOW  CITY」「出航  SASURAI」の3曲同時トップ10以内にランクインしたと云う伝説を持っています。 独特なイントロから少しのタメの後、『くもり硝子の向こうは風の街…』と印象的なメロディで始まり、サビの『背中を丸めながら…』でもそれほど力を入れず自然体で歌っています。 ラスト『そして二年の月日が…』で転調され、『ルルル ルルルル…』と余韻を残す仕上がりになっています。 

 松田聖子「瑠璃色の地球」 谷村新司「サライ」 テレサ・テン「つぐない」 と335歌集の人気曲を3曲続けて歌いました。 どれもよく知られた曲なので、皆さんよどみ無く歌われていました。 

 「さらば恋人」 堺正章たった(失礼)2曲の大ヒット曲の1曲です。 もう1曲も335歌集にある「街の灯り」です。 
 1971年リリースの堺正章ソロデビューシングルで、作詞 北山修、作曲 筒美京平。 堺正章の伸びのある声で歌われるサビのフレーズ『いつも幸せすぎたのに…』のメロディが、アルバート・ハモンドの「カリフォルニアの青い空 (It Never Rains In Southern California)」に似ていると後に話題になりましたが、「カリフォルニアの…」の方が1年以上後でリリースされているのでパクリ疑惑はありません。
(よくリクエストされるイタリア民謡「さらば恋人よ」と混同される方もあるのでは?)

 紙ふうせん「冬が来る前に」 欧陽菲菲「ラヴ・イズ・オーヴァー」の2曲続けて歌いました。 どちらも近頃ヘビロテでリクエストされますが、秋にぴったりの「冬が…」は、とにかく音域が広く、キー設定がとても難しい曲です。 それでも年間リクエストランキングの上位に入っているくらい人気があります。

 「初恋の人に似ている」 1970年リリースのトワ・エ・モワの楽曲で、作詞 北山修、作曲 加藤和彦のゴールデンコンビの手掛けた曲です。 
 今の彼に似ている『初恋の人』がテーマですが、デートしていてもチラチラ散らつく初恋の彼との思い出。 それにちょっぴり罪悪感を抱き、『ごめんなさいね ただそれだけなの』と言い訳(笑)して、最後には『今はあなただけなの』と上手くまとめてしまう… なんとなく『あざとさ』も感じられるのに、爽やかなメロディと美しい歌唱でそんな『あざとさ』は帳消しになっていますね(≧∀≦)    でも、実際『初恋の人に似ている』のはルックスだけなのでしょうね(*^_^*)

 「もしも明日が…。」 この曲は以前お別れ曲によく歌っていましたが、リクエストは久しぶりでした。 ほのぼのとした歌詞とメロディですが、この曲は『欽ちゃんのどこまでやるの?(通称欽どこ)』の中で誕生したアイドルユニット『わらべ』の持ち歌で、リリースシングルには欽ちゃんファミリーも参加していて、正式クレジットは『わらべ   with KINDOKO  FAMILY』となっています。 作詞 荒木とよひさ、作曲 三木たかしのヒットメーカーが手掛け、ミリオンセラーに迫る勢いでした。 
 可愛らしい2人組の『わらべ』ですが、命名者は萩本欽一で、子供を意味する『童(わらべ)』と『笑うべ』をもじって付けられたそうです。 
 そして今回調べていて1つ重大なミスが発覚しました(⌒-⌒; )       
 この曲の表記は「もしも明日が…。」が正式なのですが、335歌集には「もしも明日が」で載っているのです😱 今まで気が付かなかった迂闊さをお詫び致します。 お手持ちの歌集の「もしも明日が」のあとに『…。』を付け加えて修正して頂ければと思いますm(_ _)m

 「時の流れに身を任せ」 本日2曲目のテレサ・テンの楽曲でした。 『テレサ・テンの曲は、耐える女性の歌が多いですねぇ〜』と言ったら、リクエストされた奥様『耐えてます(笑)』 すかさずダンナ様も『こちらも耐えてます(笑)』( ◠‿◠ )

 「初恋」 46歳の若さで死去した村下孝蔵最大のヒット曲で、死後30年近く経った今でも根強い人気があります。 フォークの流れと、本人の敬愛して止まないベンチャーズのロックのテイストを持ち合わせた曲調は、『初恋』の甘く切ない想いを余すところなく表現しています。
 『初恋』をテーマとして選んだのは音楽プロデューサーの須藤晃で、島崎藤村の詩『初恋』の話から、初恋にまつわる様々なエピソードやキーワードを選び出し、村下が歌詞に落とし込んでいったそうです。 彼の死後、本当に多くのアーティストがカヴァーしており、この曲がいかに愛されているか解ります。 
 因みに、島崎藤村の詩に曲を付けた『初恋』も舟木一夫でヒットしましたが、335歌集に収録されています。

 「雨の遊園地」 珍しいリクエストでしたが、1963年2月-3月にNHK『みんなのうた』で紹介された、作詞 谷内六郎、作曲 中村八大の楽曲です。 『詩集・遠い日の歌』に収録された楽曲が原曲で、雨の降る遊園地の風景が歌われています。 作詞の谷内が自ら描いた画像に、当時17歳の中尾ミエがレインコート姿に傘をさして歌う姿が映されました。 子ども向けの童謡ですが、雨の遊園地は寂しくて、ちょっぴりもの悲しい感じを受けます。 変化するメロディラインが秀逸で、さすが中村八大だと思わざるを得ません。 編曲を担当した中村二大は、八大の実兄でクラリネット奏者でもありました。

 「黒い瞳」 ロシア民謡ですが、『黒い瞳』はロマ(ジプシー)の女性の煽情的な魅力の象徴として歌われていて、その魅力に取り憑かれた男性の苦悩と激しい感情がこの歌の主題です。 
 旋律もロマの音楽に特徴的なハンガリー音階に基づいており、ロシアのジプシー歌謡を代表する曲として知られています。 郷愁を誘うような美しいメロディをリクエスト者のリードで歌いました。

 この日もたくさんのリクエスト曲を歌ってきましたが、ラストソングはいつもの如くMr.Mの選曲で「黄昏のビギン」 今までは、ちあきなおみのスローでムーディーなバージョンで歌っていましたが、元は1959年リリースの水原弘の歌った楽曲です。 『本家ので…』とのMr.Mのリードで、ビギンのリズムに乗ってアップテンポで歌いました(*´∀`)♪♪♪

 昨日まで半袖着てたのに…  一気に晩秋になってしまったような本日(10月25日)次回開催です(#^.^#)
 風邪など召しませぬよう、暖かい服装でいらしてくださいね
♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪

                                   神田陽子



 
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