2025年1月25日土曜日
土曜夜の歌声サロンラウム~ 1月11日のご報告~ 神田陽子

   本年初の土曜歌声は、1のゾロ目の1月11日開催で『こいつぁ春から縁起がいいわぇ?』と思った私。 たくさんの常連さんたちに混じって、高校の同級生4人も初歌いにやって来てくれたので、やっぱり縁起が良かったのですね(๑>◡<๑)


 ラウムの歌い初めはお約束の「一月一日(いちげついちじつ)」 『年の 始めの 例(ためし)とて…』で始まるこの曲は、1893年(明治26年) に文部省より『小学校祝日大祭日歌詞並楽譜』の中で発表された唱歌です。 
 文語調の歌詞は、天皇の御代が長く続かんことを謳っており、『君がみかげに比(たぐ)えつつ』は『天皇のお姿になぞらえながら』と云う意味だそうです。 今まで何気に歌っていましたが、皇居での新年一般参賀に多くの人が詰めかける様子を見ると、現代でもその想いが続いているようです。

 今年初のリクエストは、「ペチカ」 『ペチカ』はロシアの暖炉兼オーブンのことですが、この曲はロシア民謡ではなく、れっきとした日本の童謡です。 
 作詞 北原白秋、作曲 山田耕筰。1924年発行の『満州唱歌集』に収録されています。
 南満州教育会からの依頼で、満州の生活を表している曲を作ることになった2人は、実際に満州に赴いて満州移民のためにこの曲を作りました。 歌詞の『くりや くりや』は、満州名物の焼き栗を売る『焼き栗いかが』と云う掛け声だそうです。 歌詞を見ると楽しげな雰囲気ですが、実際の満州の冬は極寒… 厳しい生活を強いられていたことは史実が語っています。
 尚、もう一つの「ペチカ」を今川節と云う夭折の作曲家が作っています。こちらはクラシカルな格調高い曲調の複合七拍子と云う珍しい曲で、北原白秋はこちらの方を好んだというエピソードもあります。

 「赤いスイートピー」 松田聖子の大ヒット曲ですが、作曲の呉田軽穂はユーミンこと松任谷由実。 他者に楽曲提供する際のペン・ネームです。 匿名性を持って「Woman ”Wの悲劇“」「瞳はダイアモンド」等を作曲しています。
 『春色の汽車に乗って…』『I will follow you』 乙女チックな歌詞が胸をワクワクさせる、そんな素敵な1曲です。

 「おぼろ月夜」 『朧月』は春霞のかかった淡い印象の月のことで、この歌は日本の唱歌の中でも特に日本人に愛されてきた名曲です。 郷愁を誘う優しい旋律が、文語体で書かれた歌詞をとても引き立てています。
 『にほひ』は『匂い』ではなく『色合い』、『里わの火影』は『人里の家々の明かり』、『さながら』は『すべて』と云う意味です。 歌っていると、春の夜のぼんやり霞んでいる月を見ながら、そぞろ歩いているような気分になれますね🌕

 「紙ひこうき」 これはお初の曲でしたが、私は当然のごとく不案内で、Mr.Mも歌ったことない、とのことで、ピアニストにメロディを弾いてもらい、歌詞を追ってみました。改めて音源を聴いてみましたがとても綺麗な歌曲です。 

 「花(すべての人の心に花を)」 沖縄出身の音楽家で平和運動家の喜納昌吉の作詞 作曲の楽曲。 1964年の東京五輪の閉会式で、各国の選手たちが入り乱れて肩を組み、笑ったり泣いたりしている光景を、実況のアナウンサーが『泣いています……笑っています』と表現しました。 その言葉と、人種、国を超えた選手たちの様子に深く感銘を受けた喜納昌吉は、後に平和の意味も込めてこの曲を作ったそうです。
 石嶺聡子、新垣勉、夏川りみ等、沖縄出身の歌手はもとより、多くのアーティストにカヴァーされている名曲です。 
 『泣きなさい 笑いなさい』のサビの部分は、ロングトーンと、独特の節回しが印象的です。

 「山小舎の灯」 作詞 作曲の米山正夫は、戦時中ポリドールから満州/奉天中央放送局へ移り、現地で招集その後約2年間シベリア抑留と云う過酷な体験をしています。 彼はシベリアの収容所で、飢えと寒さに震えつつ、学生時代に登った山のことを思い出しながらこの曲を書いたそうです。 
 『この唄を遺書のつもりで書いた』と聞かされた彼の盟友近江俊郎は、この唄を世に出してヒットさせたい想いが募り、『NHK ラジオ歌謡』の担当プロデューサーに掛け合って、その結果毎日ラジオで流されることになったのです。 明るい晴れやかなメロディが大反響を呼んで、その後近江俊郎の歌唱でレコード化されたのです。

 「さらば青春」 小椋佳のデビューシングル「しおさいの詩」のB面曲ですが、この曲で小椋佳が『さらば』と言っている対象は『学生運動華やかなりし頃』のようです。
 歌詞の『黒い水』『黒い犬』は、左翼の活動家やその運動、その煽動に巻き込まれている学生や人々を指しているそうです。 『少女』は『真理』の比喩と解釈できるようで、小椋佳のワードセンスの片鱗を感じます。

 「空よ」 トワ・エ・モワの1970年のシングルで、これはNHK 『あなたのメロディー』の視聴者公募から生まれた曲です。 『空よ…』と語りかける歌詞は、ふるさとでの幼い初恋を思い出して書かれていますが、とても爽やかな1曲です。

 「五番街のマリーへ」 1973年リリースのペドロ&カプリシャスの5枚目のシングルで、ボーカルは2代目の高橋まり(現: 髙橋真梨子)で、後に髙橋真梨子自身もカヴァーして歌っています。 
 この曲を作ったのは、作詞 阿久悠、作曲 都倉俊一で、2人はこの年船上で開かれた作詞教室、作曲教室の講師として乗船していました。 それは一週間で日本1周すると云う洋上セミナーだったので、せっかくならその間に1曲作ろうとなったそうです。 『五番街』がちょっと国籍不明の不思議なイメージを持つこの曲は、クルージングの間に出来上がったのですね🚢

 「スキー」 『山は 白銀(しろがね)…』で始まるこの曲は、数あるスキーの歌の中でも最もポピュラーなのでは無いでしょうか? 
 作詞の時雨音羽(しぐれおとは)は北海道出身なので、スキーの爽快さ、滑る喜びに溢れた歌詞を書いています。 作曲の平井康三郎はヨナ抜き長音階で曲を書いて、軽快で明るい曲調に仕上げています。 歌詞と旋律が本当によく合っている名曲です。

 「ステンカラージン」 これも当サロンでは人気のあるロシア民謡です。  ステンカ・ラージンは本名スチェパン・ラージンと言い、ドン・コサックの家に生まれ、後に『ラージンの乱』なる、貴族とツァーリの官僚機構に対して反乱を起こしています。 曲は彼を賛美する内容になっていますが、ラージン自身は海賊のような暴れん坊でもあったようです。

 「新雪」 昭和17年と云う太平洋戦争真っ只中の曲ですが、この時節にもかかわらず明るい青春歌謡です。 同名の映画は、若い教師や女医の爽やかな恋模様を描いたもので、若者の戦意を失墜させるとの理由で、フィルムは軍部によって焼却されたそうです。 リズムは何となく軍歌を感じさせますが、灰田勝彦の歌唱は甘く切なさに満ちています。

 「想い出のソレンツァーラ」 これも人気の高いカンツォーネで度々リクエストされます。 美しいメロディで心を揺さぶる曲調です。『ソレンツァーラ』は、地中海のコルシカ島の南東にある小さな漁港で、保養地としても有名な場所です。

 スタッフリクエスト「ヴォラーレ」を賑やかに歌って前半終了。

 後半の紹介曲は「22才の別れ」 1974年に『かぐや姫』時代の伊勢正三が書いた曲ですが、翌年『かぐや姫』が解散、伊勢正三が大久保一久と結成したフォークデュオ『風』のデビューシングルとして、リメイクバージョンが発売されヒットしました。
 『かぐや姫』バージョンは、1984年のテレビドラマ『昨日悲し別で』のエンディングテーマに使用されていて、雪の校庭でフォークダンスをしている映像に流れるシーンが、私はとても好きでした。
 
 リクエストは「夢一夜」 『かぐや姫』解散後ソロシンガーとなった南こうせつの4枚目のシングルで、1978年のリリース曲です。
 作詞は、当時山口百恵のヒット曲を何曲も書いていた阿木燿子。 妖艶で女心の機微を余すところ無く描いた歌詞です。 曲は、ある日こうせつの妻が弾いていたベートーヴェンの「テンペスト」に着想を得て作ったそうです。
 音域が広く、歌うのには苦労する1曲ですが、とても素敵な曲だと思います。

「春よ、来い」 これも1年を通してよくリクエストされる曲です。 松任谷由実26枚目のシングルで、同名の朝ドラ『春よ、来い』の主題歌です。 このドラマは、主役が安田成美から中田喜子に突然途中交代すると云う騒動もあって評判になりました。
 音楽の教科書はもとより、詩として国語の教科書にも掲載されています。 一部は文語体で書かれている趣のある歌詞が、やや古風な雰囲気を醸し出しています。
 2011年の東日本大震災の後 アレンジを変えた「(みんなの)春よ、来い」が、チャリティー企画として配信されています。

 「美しい十代」 この曲がリクエストされると、ドンピシャ世代が多いので一段と歌声が大きくなるような気がします( ◠‿◠ ) いつまでも『心は十代』のつもりで、自身の十代を思い出しながら歌いたいですね。

 「バラが咲いた」 本曲のレコード・ジャケットに『日本のモダンフォークがうまれた』とキャッチフレーズが付されていたことで、『日本初のフォークソング』と言われている曲です。  作詞 作曲の浜口庫之助は、サン・テグジュペリの『星の王子様』の、薔薇をテーマにした一節からモチーフを得てこの曲を作ったそうです。 

 「サライ」 『24時間テレビ』のテーマ曲としてお馴染みの歌ですが、視聴者から集められた愛のメッセージをもとに、谷村新司が作詞を、弾厚作(加山雄三)が作曲を担って、24時間以内に作ると云う企画から生まれた曲です。
『サライ』とは、ペルシャ語で『宿』『家』を意味する言葉で、歌詞にも出てくる『故郷(ふるさと)』をイメージしてタイトルになったそうです。 谷村さんの遺してくれた多くの名曲の中でも、これは誰もが忘れられない1曲でしょう。

 「スキーの歌」 こちらの『スキー』の歌も人気曲で、特に冬場はよくリクエストされます。 綺麗なメロディに乗って、楽しげにスキーに興じる人々が目に浮かぶような曲です⛷️
 リクエスト者は『雪山』『スキー』大好き人間(笑) 素敵にリードして頂きました。

 「出発(たびだち)の歌」 この曲も335歌集の人気曲です。 静かな歌い出しで始まり、徐々に盛り上がっていく曲調に合わせて、歌っている私たちの気持ちもどんどん高揚していく… そして最終的には『銀河の向こうに 飛んで行け〜』と高らかに歌い上げて、心は宇宙の彼方に飛んでいくようです🚀

 「喜びの歌」 ベートーヴェンのいわゆる『第九』 前回のブログで、友だちが合唱で参加した『第九』コンサートを聴いて感動したエピソードを書きました。 前述の通り、この日は私の高校の同級生が4人来てくれましたが、その中の1人が『第九』合唱の参加者でした。 それもあって他の友だちが一緒に歌いたいと、リクエストしてくれたんだと思います。 初歌いに相応しい喜び溢れた歌声が響きました♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪

 「北国行きで」 近頃この曲がお気に入りのお客様より。 日本人ばなれしたパワフルボイスの持ち主朱里エイコは、当時のアイドル全盛期においてはなかなかヒットに恵まれず、この曲で彼女はピークを迎え、その後苦悩と葛藤の日々を送ったようです。

 「恋心」 先ほどリクエストされた「想い出のソレンツァーラ」を歌った、エンリコ・マシアスのシャンソンですが、情熱的なタンゴのリズムと美しいメロディに、倦怠的なムードの歌詞が付いています。 しかしフランス語の原曲は恋を賛美している内容で、『恋愛は何ものにも代えられない』と歌っているようです。 何故、シャンソン訳詞の第一人者である永田文夫は逆説的に『恋なんて 何になるの』と表現したのでしょう?  私的には『この歌詞以外あり得ない』と思えるほど、素晴らしい歌詞ですが…

 「夢で逢えたら」 歌詞の途中に科白があるので、私の『可愛く言って下さいね』の無茶ブリに、若干照れながらも可愛い声で語ってくれたMr.Mに拍手喝采でした(#^.^#)
 『夢でもし逢えたら…』のサビはとてもキャッチーなメロディなので、皆さんサビだけはよくご存知だと思いますが、大瀧詠一の曲の特徴でもある転調が随所に入っているお洒落な歌です。

 「冬の稲妻」 アリスの11枚目のシングルで、この曲が初のオリコントップ10入りしたヒット曲でした。 冒頭の『あなたは稲妻のように…』から、谷村新司と堀内孝雄の絶妙なハーモニーが素敵な曲です。 『You’re rollin’ thunder…』のあと谷村さんのように切なく『Ha〜』とため息を入れないといけないのですが… タイミングも難しいし、何だか恥ずかしくていつも割愛(笑)

 「冬の星座」 冬の季節には本当によくリクエストされる曲です。 美しい歌詞と旋律に心が浄化されるような心地になり、まさに静謐なひと時を味わえます。

 お別れ曲は、Mr.M選曲で「歌えバンバン」 今日はもうお終いなのに、まだまだバンバン歌いたい気持ちになってきます٩( ᐛ )و🎶

 次回は1月25日。 なんともう本日です٩(^‿^)۶ インフルエンザと共にいろんなタイプの風邪も流行っているようです。 (我がピアニストもひどい胃腸風邪にやられていました😨)
 くれぐれもご無理はされないよう、体調と相談の上ご参加下されば、と思っています。
 
 バンバン歌って、身体の免疫力もグングン上げましょう٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

                              神田陽子



 
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