2025年8月22日金曜日
土曜夜の歌声サロンラウム~ 8月9日のご報告~ 神田陽子

  40℃に近い『危険な暑さ』と毎日のように聞かされていると、気温が30℃の前半だと何だか安心している自分がいます。 これって感覚がおかしくなっているのでしょうか?

 
 さてそんな猛暑の中、およそ1ヶ月ぶりに開かれた土曜歌声はたくさんのお客様に来て頂き、皆さんのお元気なご様子を嬉しく拝見しました(≧∇≦)

 この日『8月9日』は長崎の原爆忌です。 80年前のこの日も暑い日だったのでしょう。突然日常を奪われた人たちの無念さは計り知れません。 私は高校の修学旅行で長崎を訪れ、原爆資料館、一本柱鳥居、平和祈念像を見てきました。 資料館で見た惨状には、思わず目を背けてしまうほどのショックを受けた覚えがあります。 
 長崎への慰霊の気持ちを込めて「長崎の鐘」をファーストソングに選びました。 長崎はクリスチャンの多い地です。この歌の歌詞にも『ロザリオ』『マリア様』と出てきます。 そもそもこの歌は、原爆で妻を亡くし、自らも被爆、やがて白血病で亡くなる永井隆博士の同名著書をモチーフに作られた曲です。 
『長崎の鐘』は浦上天主堂の『アンジェラスの鐘』で、原爆投下後に奇跡的に掘り起こされ再び鳴り響いた時には、長崎市民をどんなにか勇気づけたことでしょう🔔

 リクエスト1曲目は、超お久しぶり(何年ぶり?)(笑)のお客様より「ヒロシマ」 フランスのシンガーソングライターのジョルジュ・ムスタキの曲で、被爆地広島を悼み、平和を呼びかけるメッセージ・ソングです。 
 原曲には『彼女(elle)は明日やってくるだろう』とあり、その彼女とは『平和(La Paix)』のことだと示されています。 日本語の歌詞はヒロコ・ムトー氏によるもので、同じニュアンスが感じられます。

 急遽ご参加の女性のお客様より『Mr.Mで「Fly Me to the Moon」を』と。 ご指名に与(あずか)って、洋楽番長の出番です٩(^‿^)۶ ムーディにリードしてくれました。

 「折り鶴」 作詞 作曲の梅原司平さんが、1982年に東京都原爆被害者団体協議会25周年コンサートに出演する際、被爆者の想いに寄せて創った曲で、『戦争』『平和』『反核』と云う重いテーマを題材にすることを、『よほど心して書かねばと云う想いと、中途半端な気持ちでは到底書けなかった。』とご本人が語っています。 
 そんな想いから生まれたこの歌ですが、ヒロシマ・ナガサキの悲しみに寄り添い、折り鶴に託した気持ちが強く伝わります。 

 「心はいつも夜明けだ」 1961年『九州うたごえ祭典創作』第1位で、同年の『日本のうたごえ祭典』で発表された楽曲です。 原題は「心にゃ夜はない」だったのですが、全国のうたごえ仲間の意見で現在の題名になったそうです。 私は不案内でしたが、若い労働者へのエールが明るく唄われています。 3番の歌詞『そうだ! きょうもガンバロー!』は、メロディが無い『掛け声』と云うのも斬新ですね。

 ロシア民謡「カチューシャ」 ヴィレッジ・シンガーズ「亜麻色の髪の乙女」 伊東きよ子「花と小父さん」 ジェリー藤尾「遠くへ行きたい」の人気曲4曲を続けて歌いました。
どれもお馴染みの曲なので、皆さんの声もひときわ響いていました♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪

 「ラ・メール」 フランス語で『海』を意味する言葉です。 この曲は1946年に、フランスの歌手シャルル・トレネが作詞 作曲、自身で発表したシングルが大ヒットして、シャンソンのクラシック、ジャズのスタンダードとして多くの歌手に歌われてきました。 
 1960年には、ボビー・ダーリンが英語の歌詞をつけて「Beyond the Sea」としてリリース、大ヒットしました。
 包み込むような美しいメロディが、穏やかな波に揺られているような気持ちにさせてくれます🌊

 「あなたのすべてを」 これも度々リクエストされる、佐々木 勉の作詞 作曲で、本人が歌って歌手デビューしています。  この曲は究極のラブソングと言っても良いほど、甘いフレーズで溢れています。 
 佐々木 勉は、ザ・サベージ「いつまでも いつまでも」、ザ・ブロード・サイド・フォー「星に祈りを」の作詞 作曲の他、榊原郁恵「夏のお嬢さん」 ヒロシ&キーボー「3年目の浮気」 ロス・インディオス&シルヴィア「別れても好きな人」などの、アイドル曲や歌謡曲も多く手掛けていますが、残念なことに1985年に46歳の若さで亡くなっています。

 本日お初参加のご夫婦から、中島みゆき「時代」、岡本真夜「トゥモロー」を続けてリクエスト頂きました。 どちらも当歌声サロンでの人気曲ですが、特に「時代」は日本のスタンダードとして歌い継がれてきた曲です。 「トゥモロー」はいつ歌っても元気になれる1曲です。

 「Take Me Home, County Roads (カントリーロード)」 335歌集に入っているこの曲は、日本語の歌詞も付いているのですが、Mr.Mも私も自信なく英語の歌詞のみで歌わせて頂きました。 
 この歌を作って歌ったのは、アメリカのカントリー・シンガーJohn・Denver(ジョン・デンバー)ですが、後にオリビア・ニュートン=ジョンがカヴァーしてより広く知られるようになりました。 日本ではジブリ映画『耳をすませば』の挿入歌、エンデイング主題歌として使われ、この時日本語の歌詞が付けられました。 (高校時代、ジョン・デンバーに夢中だったのは… 私です^_^)

 「えんぴつが一本」 335歌集収録のこの曲は、おそらくお初リクエストでした。 故坂本九ちゃんが歌っていますが、作詞 作曲の浜口庫之助氏自身も、アルバム『自作自演集』で歌っています。 NHK『みんなのうた』でも紹介されて耳にしたことはありましたので、お初でしたが何とか歌えたと思います。 明るい曲調の、はずむようなリズムで歌う楽しい曲です✏️

 「真赤な太陽」 1967年に、美空ひばりがジャッキー吉川とブルー・コメッツをバックに従えて歌った楽曲です。 ミニスカートの美空ひばりがゴーゴーダンスを踊りながら歌って、それまでのイメージを一新した曲ですが、作曲の原信夫は、美空ひばりのジャズセンスを見込んでジャズのリズムで作ったそうです。 アレンジはブルー・コメッツの井上忠夫(のち井上大輔)が担当し、そのままバックも務めることに。 140万枚の大ヒットになり、多くのアーティストにもカヴァーされています。 

 ここで前半最後のリクエストは、冒頭の紹介曲の時にはまだお出ましでなかったお客様より「長崎の鐘」  リクエスト者のリードで本日2回目の「長崎の鐘」を歌いましたが、1回目よりも皆さんの想いがより深く感じられ、遠く離れた長崎の地へ追悼の気持ちを届けられたのでは無いでしょうか?🔔🔔

 ここで前半終了。 ピアニストより、ピアノコンサートのご案内をさせて頂きました。

 後半は、リクエスト曲「コザックの子守歌」を2度繰り返してリスタート。 眠りを誘う優しい旋律は、元はロシアの作家ミハイル・レールモントフが流刑中に、カフカスのテレク・コサック軍の地で、その地の老婆が歌っていた子守歌を採譜し、ロシア語詩に直したのが始まりだそうです。
 日本語の歌詞は、525歌集の津川主一訳のものや、度会祐一訳の『眠れや愛し子 安らかに』で始まるものが好まれています。 倍賞千恵子さんが歌っていますが、本当に美しい歌声で癒されます。これには3番の歌詞も歌われていますので、載せておきます。

       いとしの吾子よ コザックの吾子
       安らにねむれ 朝日さすまで

 「テネシー・ワルツ」を、またまたご指名のMr.Mのリードで、英語と日本語の両方で歌い、『ひとつ屋根の下』の主題歌になった、財津和夫「サボテンの花」を続けて歌いました。

 「無言坂」 335歌集の曲ですが、これもお初リクエストでした。 1993年の香西かおりのヒット曲ですが、作曲は玉置浩二と云うことでびっくり!ʕʘ‿ʘʔ 多くの歌手と共に、玉置浩二本人もこの歌をアルバムでセルフカヴァーしています。 作詞の市川睦月とは、『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』などのテレビドラマを手掛けた名プロデューサー、久世光彦のペンネームと云うので2度びっくり! 『無言坂』と云うのは、久世の出身地・富山県富山市の坂をモチーフとしているそうです。 
 ジャンルは演歌ですが、どこか演歌っぽく無いアレンジがさすが玉置浩二ですね。

 「心もよう」 井上陽水の名曲ですが、1973年リリースなので、歌詞もメロディもフォークのテイストが感じられます。 静かに語りかけるように歌い始めますが、サビの『さびしさだけを 手紙につめて…』から一気に力強く歌い上げるコントラストが秀逸です。

 洋楽の中でも人気のある「エーデルワイス」 335歌集の中で早くから頻繁にリクエストされてきた、本田路津子「耳をすましてごらん」(朝ドラ『藍より青く』の主題歌でした)
フォークのスタンダードの、森山良子「この広い野原いっぱい」 ジャズシンガー志望だった森山良子は、この歌のヒットによってフォーク歌手への道へと方向転換することになったそうです。

 「ひまわり」 美しい旋律が切なさと望郷の想いへ誘(いざな)いますが、この曲の『ひまわり畑』があるのは戦火のウクライナ地方です。 リクエスト者の想いも一日も早い平和の訪れでした。 停戦への動きは進んでいるのでしょうか?

「狙い打ち」この日はお初リクエストが目白押しで、この曲もその1つでしたが、この日一番の盛り上がりでした٩( ᐛ )و〜🎵  ピアニストもノリノリで、さながら甲子園の応援曲のような演奏に皆さん拍手喝采でした🎹

 「栄光の架橋」 フォークデュオ ゆずの楽曲で、2004年のアテネオリンピック時のNHK公式テーマソングとして作られました。 男子体操団体金メダルの快挙と共に、この曲はその後様々なスポーツ大会で流されてきましたが、当サロンでも何度かリクエストされています。
 歌うのにはなかなか難しい曲なのですが、何度も歌ってきたので皆さんよくご存知で、ラスト近くのほぼアカペラ(伴奏無し)の部分が、練習したかのようにピッタリと合って、その静かな歌声が美しく響いて、密かに感動しました。

 「未来へ」 1998年リリースのKiroroの2枚目のシングルです。 母を想う優しい曲ですが、作詞 作曲の玉城千春が中学3年の時に、ただの風邪を引いていただけの母親を重病だと思い込み、思い出の曲としてプレゼントしようと初めて作った曲だそうです。それにしても中3にしてこの感性… 『あっぱれ!』ですね
( ◠‿◠ )

 「旅人よ」 弾厚作こと加山雄三の楽曲で、作曲は加山雄三が担っています。  作詞は岩谷時子で、人生を旅に準(なぞら)えて書かれているようで、詩として朗読してみてもとても味わい深いと思います。 この曲は本当に老若(?)男女関係なく、いつも年間リクエストの上位に入ってきます。

 「翼」 『世界のタケミツ』と評される武満徹の作詞 作曲で、ネオクラシカルな雰囲気のある曲です。
 この曲は1982年に東京の西部劇場(現・PARCO劇場)にて上演された舞台『ウイングス(Wings)』の劇中歌として作られ、舞台では市原悦子さんによって歌われました。 この劇は、脳卒中で失語症になった元女性アクロバット飛行士の闘病を描いているようで、この歌の歌詞には、以前は『自由』に空を飛べていた様子と、また空を飛びたいと云う『希望』が見て取れます。
 また、ほぼ独学で音楽を学んだ武満徹ですが、クラシックの枠に留まらず、いわゆる『ジャンルを越えた』音楽を作っており、次のように語っています。
  『「翼」という歌にも書いたように、私にとってのこうした営為(いとなみ)は、『自由』への査証を得るためのもので、精神を固く閉ざされたものにせず、いつも柔軟で開かれたものにしておきたいという希(ねが)いに他ならない。』
 この「翼」も、曲調、リズムが緩やかに変化し、しかもそれが美しく繋がってラストに導かれていく素晴らしい楽曲に仕上がっています。

 「学生街の喫茶店」これもコンスタントに人気のある1曲で、度々リクエストされます。 フォークグループ ガロの最大ヒット曲ですが、元はアルバムからのシングルカットのB面でした。 作詞 山上路夫、作曲 すぎやまこういちのヒットメーカーによる『フォークソング風歌謡曲』のこの曲は、ガロのメンバーたちにとっては自分たちの音楽性にそぐわない、と云う忸怩(じくじ)たる思いもあったようです。 

 ラストリクエストは 「帰れソレントへ」 男性陣に大人気の曲で、土曜歌声ご常連の男性の皆さんは声自慢でいらっしゃるので、リクエスト者のリードを中心に大迫力の歌声が、この室内だけでなく、短歌会館中に轟き渡ったのではないでしょうか?((((♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪)))
 思い切り声を出して歌った後は、心地よい疲れと晴れやかな気持ちに満たされますね^_^

 30曲以上歌ってからのラストソングは、Mr.M選曲の「少年時代」 『逝く(なかなか逝きませんが…笑)夏』を思い起こして惜しむ歌ですが、純真無垢だった少年・少女の頃を思い出させるノスタルジックな歌詞と旋律に酔わされます。

 さてこの原稿を書いているのは、高校野球の準々決勝、準決勝の頃。 無類の高校野球ファンの私に限らず、多くの人が公立高校の県立岐阜商業(県岐商)の快進撃に心躍らされる日々だったのでは?⚾️ 
 残念ながら決勝進出は叶いませんでしたが、『あっぱれ』プレーに感動の連続でしたね。
 決勝は明日。 日大三高は愛知県代表の豊橋中央高校が初戦で好ゲームを繰り広げた相手です。 仙台育英の監督、選手たちからも優勝を託された沖縄尚学も魅力的なチームだし… 果たしてこの夏一度も負けない学校はどちらになるのでしょうか?

 次回の土曜歌声も実はもう明日(汗) 皆さんにお会いする時には勝敗は決しているはず…
(いやいや、早稲田実業🆚駒大苫小牧の伝説の再試合のようにならないとは言い切れないし…^ - ^)  
野球の話ばかりで… ごめんなさい🙇‍♀️

 明日は、最上級の酷暑(鬼暑)になる予報です🥵 夕方からは若干下がるようですが、皆さんくれぐれも熱中症には気を付けて、暑さ対策万全でお越し下さいね。

神田陽子



 
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